物流アウトソーシングとは?
メリットや失敗しないための業者の選び方を徹底解説
物流アウトソーシング(物流委託)とは
物流アウトソーシング(物流委託)とは、外部の業者に物流業務の全てまたは一部を委託するサービスを指します。ファッション・雑貨等のアパレルメーカーであれば、「工場で作られた商品の入荷検品から出荷先となる百貨店や量販店への発送業務まで」の全部または一部を専門の外部企業に委託することが物流アウトソーシングとなります。
最近ではスマートフォンの発達によって、楽天やAmazonなどのECショップで購入する消費者の割合が高まったことで、小口化・多頻度化したBtoC物流(EC物流)が倉庫管理や配送サービスに対して求められるようになっています。BtoC物流(EC物流)はエンドユーザーへ直接商品を発送しており、数量や品番を間違えた場合には即クレームとなることから、物流アウトソーシングへ舵を切る企業も増加しています。
物流アウトソーシングの役割
物流アウトソーシングは、企業が物流業務を専門の外部パートナーに委託することで、効率化、コスト削減、専門知識の活用を実現するサービスです。入荷・検品・在庫管理・ピッキング・梱包・出荷・返品処理など、物流プロセスのさまざまな役割をアウトソーシングすることができます。外部パートナーは専門的な物流ノウハウや最新技術を持ち、適切な施設や設備を提供し、効率的かつ正確な業務を遂行します。物流アウトソーシングにより、企業は物流に関するリソースや時間を節約し、コアビジネスに集中できます。また、需要変動や季節的なピーク時に柔軟に対応できる弾力性も備えています。綿密なコミュニケーションとパートナーシップにより、物流アウトソーシングは効果的なサプライチェーン管理と顧客満足度の向上に寄与します。
物流アウトソーシングのサービスのシステムの種類
定額系物流サービス
定額系物流サービスは、固定料金を支払い、定期的に特定の物流業務を利用するサービスです。月額や年額などの料金で倉庫保管、配送、返品処理などを含む物流サービスを利用できます。予め料金が決まっているため、予算管理が容易であり、物流コストを予測できます。効率的なプロセスやシステムを提供し、作業効率を向上させるため、顧客にとって便利なソリューションです。特定の業種や企業にとって、物流コストの管理を簡素化し、効率的な物流を実現する手段として価値があります
カスタム系物流サービス
カスタム系物流サービスは、顧客の個別の要求やニーズに合わせて設計される、柔軟性とカスタマイズ性に重点を置いた物流サービスです。顧客の業種、製品の特性、配送先などに応じて、倉庫保管、在庫管理、配送、返品処理などの機能やプロセスを調整・設計します。カスタム系物流サービスでは、顧客の要求に合わせて特別な報告書やデータ分析、トレーサビリティの提供など、追加の付加価値サービスも提供されることがあります。カスタム系物流サービスは、顧客の独自性や特定の業務上の要件に応えることができ、効率性と柔軟性を兼ね備えたパーソナライズされた物流ソリューションを提供します。
物流アウトソーシング(物流委託)のメリット
物流アウトソーシングをするメリットは、専門知識(効率的な入荷方法や出荷頻度を勘案した保管レイアウトなど)を持つ経験豊富なスタッフに物流業務を任せることができることです。
これにより、自社で物流業務にあたる社員の採用コストや教育に関する手間を削減し、且つコア業務である「商品企画」「ECサイト制作」「マーケティング」「仕入れ」などに限られた社内リソースを集中することができ、最終的に自社のビジネス拡大へと繋がります。この項目では、物流アウトソーシングを始めることで得られる4つのメリットを紹介します。
① 経営資源をコア業務に集中できる
上記でも触れましたが、物流をアウトソーシングすることで、最も利点となるのは、やはり本来の業務に専念できることではないでしょうか。物流部門を専門家に委託することにより、ブランディングやマーケティングといった利益に直結する業務に経営資本を集中させ、事業拡大に繋げていただけます。
物流会社によっては、入出荷や保管などの倉庫内業務に加えて受注管理やコールセンター業務までをフルフィルメントで代行する事業者もあります。特にネットショッピングにおける「クレーム対応」や「肌触りや素材に関する質問」「在庫状況の確認」など、日々膨大な件数となることから、アウトソーシング項目の中に顧客対応まで含める企業が増えています。
② 物流品質が向上する
たった1件の誤出荷が企業のブランドイメージを毀損させることも珍しくありません。特にネットショッピングの場合、間違ったサイズや商材がユーザーに届いた場合、ショップレビューやSNSでネガティブな意見が書き込まれる可能性もあります。
ましてや個人情報の取り扱いが厳しい昨今、納品書の入れ間違いや送り状の貼り間違いが発生した場合、大きなクレームとなる可能性は容易に想像がつくでしょう。
弊社のお客様で、Amazonのマーケットプレイスで農機具を販売されている企業様がいらっしゃいます。最初は1件の誤出荷から始まったそうですが、物流品質が瞬く間に低下していき、これ以上在庫精度が悪化した場合、Amazonでの販売を停止することを言い渡されたそうです。Amazonは独自のルールがとても厳しく、誤出荷が定期的に起こっていると店舗スコアが悪化し、最終的には出品停止にも繋がりかねません。
もちろん卸向けの物流アウトソーシングであっても品質管理は非常に重要です。
百貨店や量販店は独自の納品ルール(専用伝票や専用タグの取り付けなど)を敷いているところが多く、そのルールを守らなければ商品を受け入れてくれません。また、「同一納品タイミングにおけるロットまたがりの禁止」「Web-EDIへのシステム入力」など、納品先独自の入荷ルールやシステムの仕様に合わせる必要があるため、柔軟かつ質の高い物流品質が求められます。
三協では、物流専門のSE(システムエンジニア)が在籍し、クライアントの要望に応じてWMS(倉庫管理システム)を細部までカスタマイズしています。これまで提供させて頂いたWMSは100社100様であり、その企業にとって最適な物流オペレーションを可能にするWMSをゼロベースで開発しております。そのため、他のアウトソーシング会社では対応できない、きめ細かな物流ニーズにも柔軟に対応することが可能です。
③ 固定費を変動費化し、コストを削減
自社物流の場合、物流コストは固定費として計上され、時期の繁閑や物量の増減に関わらず一定のコストが発生します。一方で専門業者へ発送代行や物流代行を依頼した場合、繁忙期には作業量の増加に伴い人件費が増えますが、反対に閑散期には作業コストを抑えられるメリットがあります。また、保管スペースについても使用した坪数分の請求となるため、売上額に対して物流コストを変動費化することが可能になります。
→コスト削減についてはこちら
運営スタッフを正社員ではなく、自社雇用のアルバイトスタッフで構成している物流アウトソーシング先であれば、変動費化と合わせて作業コストを大幅に削減する提案も可能です。三協では業務フローと倉庫管理システムの確立により、入社間もないアルバイトスタッフでもすぐに戦力化できる仕組みを構築しており、コストパフォーマンスの良い物流を提案することが可能です。
さらに、物流をアウトソーシングした場合、マテハン機器(ラック類やパレット、フォークリフト等)や倉庫管理システムの導入に関する初期投資も不要となります。くわえて出荷頻度とSKU数を加味した最適なマテハン機器の組み合わせ選定もプロに一任することが出来るため、時間的なコストも削減できます。
④ 責任の所在が明確になる
自社で物流業務を行っている場合、複数の部門にまたがって業務が分散されているため、状況の把握や問題解決に多くの時間が掛かり、主管部門の不在や責任所在の暖昧さによって問題の発生源を特定できないケースも散見されます。
しかし物流をアウトソーシングすることで、自社内・外注先・運送会社に責任の区分が分かれるため、問題の発生源を特定しやすくなります。また、万が一誤出荷が発生した場合でも、原因を追求・明確化することが可能となります。さらに、業務毎の物流コストの算出も明確になるため、作業ごとのコスト分析も可能になります。
物流アウトソーシング(物流委託)のデメリット
物流アウトソーシングはとても便利なサービスですが、導入する前に知っておきたいデメリットもあります。ここでは2つのデメリットを紹介させていただきます。
① 物流業務のノウハウを自社内に蓄積するのが困難
外部の会社へ物流業務を委託することにより、事業の根幹となるメイン業務に注力できるなどメリットは前述のとおりです。その反面、社内にて物流ノウハウを蓄積することは出来ません。したがって物流アウトソーシングを行う場合、日次報告や定期レポートを参考に委託先と細やかなコミュニケーションを取ることにより、リアルタイムでオペレーションレベルを把握し、事業戦略に対する物流施策の妥当性を検証しておくことが必要不可欠となります。
② 規定業務以外に対応してもらえないこともある
物流アウトソーシングの場合、契約前にある程度の業務内容を取り決めます。そのため、物流事業者によっては緊急の出荷対応や荷主企業からの追加注文に柔軟に対応できないケースが多々あります。
ECモールにより開催される楽天スーパーセールやAmazonプライムセールなどのイベント時や、クリスマスやバレンタインなどの催事の際に出荷が増加した場合、出荷制限をかけられてしまうことも珍しくありません。商材によってはキャンセル率が高くなってしまうことも想定されるため、重大な問題です。
入荷制限も同様に気を付ける必要があります。イベントでの売り上げ拡大を期待して大量に商品を準備したにも関わらず、物流倉庫側でスピーディな入荷対応をしてもらえず、結局セールのタイミングに間に合わなかったというケースもあります。入出荷時におけるイレギュラー対応や物量が大きく膨れ上がった場合について、あらかじめ物流業者に確認を取っておくようにしましょう。
物流アウトソーシングにおける業者選定のポイント
物流業務をアウトソーシングしたくても何を基準に選べば良いのか分からない方もいらっしゃることと思います。この項目では、アウトソーシング業者を選定する際に押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
① 倉庫の立地
物流において、倉庫の立地は非常に重要です。物流業界において大きな課題の一つが労働力の確保です。若年層の働き方に対する意識の変化や最低賃金の上昇により、物流業界は人材確保に悩まされています。そのような状況下において、通勤利便性が確保された立地であることは人材確保という面で非常に大切な条件といえます。
次に重要な条件は運送会社へ支払う配送料です。ネットショップの利用拡大に伴う配達量の拡大とドライバー不足により近年では配送料が増加の一途を辿っています。大都市近郊のICや運送会社の配送センター付近に物流拠点を構えることにより、配送会社が集荷をしやすい状況を確保し、少しでも有利な配送条件を引き出すことが求められます。
三協では、これらの条件を満たした「コストパフォーマンスが高い物流倉庫」を関西に9拠点所有しています。そのため、大阪市から30分圏内の利便性の高いエリアでありながら、他の物流倉庫様と比較して保管料や配送料を抑えることが可能となります。
② 自社の商品を取り扱えるか
商材によっては、保管や加工作業に専門的な資格や許認可が必要となる場合があります。その倉庫会社に「自社商品と同じ商材の取り扱い実績があるか」は、物流アウトソーシング先を選ぶ上で重要となるでしょう。
例えば化粧品などは薬機法などで取り扱いを厳しく定められており、化粧品製造業許可証や医薬部外品製造業許可証などを保持していることは不可欠です。三協はこれらの許可証に加えて細やかな温度管理やロットおよび消費期限管理なども徹底しております。取り扱い品目も、化粧品、アパレル、食品、和雑貨、ネイル商材など様々ですのでお気軽にご相談ください。
③ 出荷制限の有無
アウトソーシング業者の中には、セール期間中など販売数が一時的に増加する物流スパイクが発生した際に、出荷制限を設けるところがあります。物流倉庫内に在庫があり、顧客が購入しているにもかかわらず出荷遅延が発生する場合、顧客満足度の低下とともにキャンセルとなる可能性が高まるなど、大きな機会損失が発生します。
ECモールによっては、出荷遅延率が一定の水準を超えた場合、出品者へのペナルティを課す販売サイトもあります。Amazonでは遅延率が4%を超えた場合、出品者アカウントの利用が停止になるリスクもあるとされています。アカウント停止となった場合には、改善計画の提出など解除に時間を要するため、出荷遅延を起こさない物流体制を敷く必要があります。
三協は、“楽天スーパーセール”や“母の日のイベント”“展示会注文”など、どのような状況でも出荷制限を一切いたしません。加えてあす楽や即日配送にも上限は設定していません。過去には、世界最大のオンラインショッピングイベントである「独身の日(中国名称:光棍節、毎年11月11日に開催)」の海外向けEC販売において1日で約3万件の注文(通常の100倍)を未出荷ゼロ・誤出荷ゼロで対応するなど、万全のキャパシティと人員体制で臨んでおります。
④ サービス内容の充実さ
物流会社によって、代行サービスの内容は様々です。これまで自社で取り組んできた物流サービスを継続して行えるか、さらに踏み込んだサービスや柔軟な物流施策を実行してもらえるか、物流アウトソーシングをする前に確認を取るようにしましょう。
例えば、ネットショッピング向けの出荷において、クーポンやチラシに加えてメッセージカード、ノベルティの同封などに柔軟に対応してもらえることは非常に重要です。顧客の属性や購入頻度に応じて最適な販促物を同梱することは、顧客満足度を高めLTVを最大化する為に非常に有益な施策となるでしょう。
百貨店や量販店向けの出荷についても、独自の納品ルール(専用伝票やタグの添付など)が少なくありません。対応しているシステムも独自の仕様になっており、システム的な連携がシームレスに対応出来るかという柔軟性が物流側に求められます。
三協ではゼロベースでカスタマイズ可能なシステムを構築しており、上記のような同梱物対応はもちろん、あらゆるシステムとのシームレスな連携についても柔軟な対応が可能です。また、「どうすればお客様の物流課題を解決することが出来るか」という視点からサービスを展開しておりますのでお気軽にお問い合わせください。
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物流アウトソーシングで委託可能な業務
企業にとって理想的な物流の姿を考えた場合、業種・業態に加えてその企業の経営戦略に応じて大きく異なります。例えば同じ化粧品業界でも、「高頻度で新商品を仕入れ、エステサロン向けに出荷する卸売企業」と「定番商品を中心にネットショップで販売しており、リピート顧客の割合が高い化粧品メーカー」では在庫の持ち方も変わるため、あるべき物流戦略は全く異なります。
すなわち、アウトソーシングにおいて重要となるポイントも大きく異なります。では、具体的に物流アウトソーシングではどのようなことが委託可能なのでしょうか? ここからは、物流アウトソーシングで委託可能な業務をご紹介いたします。
① 入荷・検品
仕入先や製造元から物流センターに商品が送られてくることを入荷といいます。入荷と言うと簡単な作業を想像するかもしれませんが、コンテナトラックから積み荷を降ろし、運ばれてきた商品をスピーディーに倉庫内の指定場所に移動させる作業は体力が必要な重労働です。特に物流センター内の保管スペースが乏しい場合、商品を降ろす順番や一時的に置いておく場所を間違えるとスムーズな入出荷の障害となるため、事前の情報入手や準備を徹底しましょう。
基本的な入荷作業として①入荷した商品の品番や数量が入荷予定と一致しているか②品物の損傷や品質に異常がないかを確認します。入荷数量や品番の確認については、「費用対効果を加味して外装検品で済ます」か「全数検品を行うか」を選択します。折衷案として、外装検品をベースにしつつ特定のロット単位や仕入れ先単位でのみ全数検品を行うといった方法を取る企業もあります。検品については良品(販売可能品)と不良品の判別基準やB品発生時の確認方法について、荷主企業毎にチェック項目を作成し、事前に相談しておくことが重要となります。
また、入荷時において特に注意が必要なケースとしては、バーコードラベルが添付されていない商品に、物流センターで発行したラベルシールを貼付するパターンです。特に複数商材が一つの段ボールに混載されて入荷している場合、取り出した商品と貼付するシールが確実に一致しているかという確認はどうしてもアナログ作業になるため、ミスが発生しない作業環境の徹底や業務マニュアルの作り込みが必要となります。入荷時の検品や登録は誤出荷や在庫差異の原因となることが非常に多いため、物流のアウトソーシングを検討する場合は特に入荷に関する作業手順やシステム構築を細かく確認しましょう。
② 保管・在庫管理
商品が物流センターに入荷されると、その商品がスーパーやショッピングセンターに並ぶまで、若しくはエンドユーザーがAmazonや楽天などのECモールで購入するまでの間、商品特性に合わせて適切に保管することにより、その価値を維持する必要があります。モノを作れば売れた時代と異なり、消費者ニーズの多様化や消費トレンドの移り変わりが激しい現代において、限られた倉庫スペースで多品種少量の在庫管理を実行することが求められています。したがって、「倉庫内のロケーション整備」や「保管効率と作業効率を高めるための保管機器の選定」が求められます。ロケーション管理には決められた場所に保管する“固定ロケーション”と空いている棚に在庫を入れる“フリーロケーション”という2つの方法があります。フリーロケーションは保管スペースを効率的に使用するという面では優れていますが、一方で同一商品が複数のロケーションに跨るため、店舗向けの出荷や卸先向けのピッキングスピードが落ちる傾向があります。
商品のSKU数と商品ごとの出荷頻度、定番商品の比率、店舗向け出荷とEC出荷の比率などを加味し、適正なロケーション管理を行うことで出荷スピードは大きく改善します。ロケーション番号の付け方、ロケーションに納まりきらなかった時のストックヤードの保管方法、出荷頻度を加味した(ABC分析やマーケットバスケット分析など)途中のロケーション変更など、事前に細かく決めておくことで精緻な在庫管理を実現することが可能となります。
③ 帳票発行とピッキング
帳票とは、作業指示書(ピッキングリスト)・納品書・送り状など注文された商品を発送するために必要な書類のことであり、ピッキングとは、注文があった商品を保管場所から取り出す作業です。バーコードやQRコードを用いてデジタル管理を行うことにより、商品知識が無いアルバイト・パートスタッフでも倉庫内の様々なロケーションの中から正しい商品を迅速にピッキングすることが可能となります。
細部までカスタマイズしたWMS(倉庫管理システム)であれば、①商品が入荷した日付に合わせて先入れ先出しとなるようにピッキングすること②足元の売上状況を反映させた福袋を自動的にピッキングすること等が可能となります。さらに、通常のシングルオーダーピックに加えて、マルチオーダーピッキングやトータルピックなど、定番比率や出荷波動など販売状況に応じて柔軟に切り替えることも可能となります。
最近ではコスト削減や業務効率化のために電子化やペーパーレス化を進め、タブレットピッキングを採用している物流企業もあります。アウトソーシング先を検討される場合、帳票発行とピッキングにおいて前述のような柔軟な対応が可能であるかを確認することが必要です。
④ 出荷検品
出荷検品はピッキングされた商品の品番や数量が正しいかをチェックする作業です。商品の誤出荷は言うまでもありませんが、納品書の入れ間違いや送り状の貼り間違いも個人や企業の情報漏洩に繋がるため、絶対に避けなくてはなりません。EC物流であればネガティブな口コミやレビューを販売サイトやSNS等で書き込まれる可能性が高く、法人や店舗向けの物流では納入先の信頼を大きく棄損することになるでしょう。
間違った商品を発送してしまった場合、誤出荷した商品の引き取りと正しい商品の発送作業が並行して発生するため、将来的な在庫差異発生のリスクとなります。このようなミスを防ぐための有効な検品方法がロケーション管理に加えて“納品書”と“送り状”と“商品”をシステム上で紐づけることです。三協ではこの方法を独自のWMS(倉庫管理システム)「SANTA」で徹底しており、誤出荷ゼロ・在庫差異ゼロを実現しております。
出荷検品を目視で行うことも可能ではあるものの、精度や生産性が商品知識や経験測に比例するため、社歴の長い熟練スタッフでなければ高品質な検品やスピーディーな作業が出来ないというデメリットがあります。季節イベント(バレンタインデー、母の日、お中元など)や楽天スーパーセールなど売上が急激に伸びる場合でも対応可能な状態にしておくことは、業務の継続性という観点からも大切であり、システム管理の導入は有効な選択肢となります。
原材料や金属部品など、バーコード管理が難しいアイテムもありますが、例えば商品カードを作成し、出荷時に商品でなくカードを鳴くことにより疑似的にデジタル管理を行う方法もあります。この方法であれば、メッセージカードやノベルティなどもまとめてデジタルでの在庫管理が実現でき、作業の進捗状況もトラッキング可能です。
⑤ 梱包作業
梱包作業は、輸送中に商品が破損しないように商品の形状・サイズ・素材などを考慮した上で最適な梱包を行うことが求められます。EC販売の場合、ユーザーが商品を受け取った瞬間が最も大切なタッチポイントとなります。「開封時の高揚感を高めるために、ブランドのロゴ入りのダンボールを使用する」「インスタグラムを使ってシェアしたくなるようなギフトボックスや包装資材でラッピングする」「環境問題に配慮して緩衝材を出来る限り減らす」など、ブランドの価値や世界観を伝えるような梱包を徹底することにより、顧客ロイヤリティを高めることが期待できます。一方で、梱包の作業手順や間違いやすいポイントについて、スタッフ全員のレベル感を統一させるため、動画や写真などの見本を用いて梱包作業を実施することが重要です。
小売店への梱包では店舗スタッフが商品を陳列する手間を考慮する必要があります。「梱包明細を添付する」「納品書の並びと商品の並びを一致させる」など、梱包の品質を高めることで相手方の手間を減らし、信頼を得ることが可能となります。特にアパレルや雑貨など納品先によって梱包ルールが多岐に亘るケースも多く、アウトソーシングを行う場合は梱包ルールを明確にしておくことが重要です。
近年は運送費が高止まりしていることから、梱包サイズを最小に抑えることや複数の運送会社と交渉することも有効な選択肢です。梱包のサイズで迷った場合は出来る限り小さい袋や段ボールから使用するようにスタッフ指導を徹底することや、複数の運送会社とのシステム連携を組み合わせることにより、配送エリアやサイズによって最も安価な運送会社の運賃が適用されるようにシステムを構築するといった方法を採用しているアウトソーシング先を選んでみてはいかがでしょうか。
⑥ 出荷業務
荷物の梱包が完了したら、物流業者は輸送業者に集荷を依頼し発送します。当日出荷をするためには輸送業者が集荷に来るまでに出荷業務を終わらせる必要があるため、時間との勝負になる作業です。特に、楽天におけるあす楽など、EC販売において当日出荷が間に合わなかった場合、即ペナルティとなるため未出荷は避けたいところです。
近年では運送費用が高止まりしており、運送費用を削減することが物流コストを抑えるカギとなります。 ケースサイズやエリアによって価格が異なる複数の輸送業者を組み合わせることで配送コストを削減することが可能です。三協であれば、WMSの中に、佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便などの価格データがマスタ上で管理されているため、日次で最適な組み合わせを算出することが可能です。また、各運送会社様とのシステム連携や共同でのシステム開発を随時行っていることに加え、「エリア・サイズ・個口数」の集計と仕分け作業を事前に準備しておくことにより、配送車への積み込みやケース数の確認などに掛かる集荷作業時間の削減に寄与しており、結果として運送コストの削減に協力いただいています。さらに、システム連携によって送り状の添付漏れや添付ミスによる誤配送ゼロも達成するなど、品質面でも非常に高い精度を実現しています。
⑦ 返品処理
商品が物流センターに返品された際は返品処理が必要です。特にプロパー商品であれば、素早く在庫計上することにより他の店舗やネットショップで販売される可能性が高まるため、迅速な処理が求められます。返品には、卸先や自社店舗から返品されるケースとエンドユーザーから直接返品されるケースがあります。特にエンドユーザーからの返品については、「商品を識別するためのタグやバーコードシールが取れている」「事前連絡なしの返品が多いため、返品予定表がない」といった問題が発生し、返品処理を難しくしています。
一方で顧客都合による返品(カラーやサイズの変更など)であっても丁寧かつスムーズな対応を行うことで購入のハードルを下げるとともに、信頼度を高め、リピート率を高める効果が期待できます。米国企業「Optoro」の調査結果によると、2019年の※ホリデーシーズンにおいて、「25%以上の消費者が購買決定の動機となったのは無料返品である」とされています。他社との差別化という観点からも柔軟な返品対応は有効な販売施策となりえるのではないでしょうか。
※ホリデーシーズン:サンクスギビングデー(感謝祭)である11月第4木曜日から始まる連休、年末を含めたクリスマス休暇を指し、この期間にアメリカのデパートや商店、飲食店などは大々的な商戦を仕掛ける。
物流アウトソーシングサービスの導入のよくある流れ
自社の物流における課題を整理
物流アウトソーシングサービスを導入する前に、まず自社の物流に関する問題を整理します。
自社物流の課題を明確に把握しない限り、外部に業務を委託しても、自社の物流サービス品質が十分に向上しない可能性がありますので、どの課題を優先的に解決するかを整理し、それからアウトソーシングの範囲を確定することが大事です。
見積書・提案書の作成を依頼
自社物流課題を決めてから、いくつか物流アウトソーシング会社に見積書や提案書を依頼します。見積書や提案書を確認する際に「自社物流の悩みを解決できるか」「含まれる作業内容」
「費用は妥当か」「梱包資材費は無料か有料か」内容を重点的に確認しておきましょう。
物流アウトソーシングをする業者を選定
見積もりと提案書を対比し、自社の要件に最も合致し、同時に費用が合理的な物流業者を選定しましょう。見積もりと提案書以外、信頼できる実績があるかどうかも重要ですので、実績も確認しておきましょう。
契約・導入
自社のビジョンや経営戦略に適合する運用を行える業者を選定したら、契約手続きを進めます。
契約や導入の際には、以下の内容を確認しておきましょう。
・アウトソーシング業務の内容
・業務アウトソーシング費用
・業務委託期間や中途解約時の費用など
・万が一のトラブルの際の損害賠償
物流アウトソーシングを利用して物流を効率化しよう!
今回は物流アウトソーシングのメリットやデメリット、業者の選び方についてご紹介しました。会社の業績を上げるためにはコア業務に集中できる環境を整えることが非常に重要です。物流に割いている時間とコストをコア業務へ移行できるよう、プロの物流業社に物流業務を委託することを検討してみてはいかがでしょうか?
三協では様々な業種業態の事業者様がさらに強くなって頂けるよう、物流面からサポートしております。現状よりコストを抑えて物流品質を上げることが可能ですので、お気軽にご相談ください。
→物流アウトソーシングについてはこちらhttps://www.kk-sankyo.com/case/
物流代行とは?利用するメリット・デメリット 業者選びのポイントを解説!
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