「大阪で物流倉庫を探しているけど…」
という方にこそ知ってほしい、奈良という選択肢


大阪で物流倉庫を探している企業様とお話ししていると、「大阪市内に加えて守口・門真・大東あたりまでしか許容できない」「淀川や大和川を越えるのは避けたい」といったご要望を多く耳にします。しかし、こうしたエリアの限定には、合理的な理由がないケースも多く、非常にもったいない選択をされていると感じることが少なくありません。
たとえば首都圏で物流倉庫を探す場合、「東京23区内限定で探す」という企業はほとんどいません。むしろ、東京を起点に30km~50km圏内という広い視野で、埼玉(越谷・川越・加須)千葉(市川・習志野・柏)神奈川(厚木・相模原・川崎)といったエリアを候補地として当たり前のように検討しています。
首都圏では「交通アクセスが良く、コスト面でも合理的なら東京にこだわる必要はない」という発想が浸透しているのです。
上記のように大阪で物流倉庫を探している方と比較するとその差は一目瞭然ではないでしょうか。
ところが、関西圏で倉庫を探すとなると話は変わってきます。
「大阪市内から出たくない」「門真周辺じゃないとイヤだ」というように、物理的な距離よりも心理的なハードルで選択肢を狭めてしまっている企業が少なくありません。これは非常にもったいない話です。
なぜなら、大阪市内のICから車で30分圏内には、実は奈良県内の優良倉庫が多数存在しているからです。
本記事では、従来のエリアにとらわれない柔軟な発想で、コストを最大限抑えた物流拠点選びの視点をご提案します。
①大阪と比べた場合に賃料が安い

こちらのグラフは物流不動産検索サイトロジコロ関西・ロジコロ大阪に掲載されている平均賃料相場をもとに株式会社三協が作成いたしました。
引用元:ロジコロ関西 引用元:ロジコロ大阪
大阪市内や近郊エリアの物流倉庫は、賃料の高騰が進んでおり、予算内で探すことが難しくなっています。一方で奈良県内の物流倉庫は、同じ規模・同じ築年数でも大阪と比較して2~3割程度や最大5割も安い物件も珍しくありません。これは、地価が安定していることに加え、まだ競争が激化していないためです。
例えば、大阪市内のインターチェンジから車で約30分のエリアに、奈良市・生駒市・天理市などの物流倉庫が多数存在しています。これらの地域は、都市圏へのアクセスが良好でありながら、大阪に比べて倉庫賃料が明らかに割安です。
「奈良は田舎だから…」というイメージで候補から外してしまうのはもったいない判断です。実際、首都圏では東京から30~40km圏内にあたる千葉・埼玉・神奈川エリアも物流拠点として広く活用されています。関西でも同様に、大阪から30km圏内にある奈良は合理的な選択肢です。
②大阪と比べた場合、奈良県の最低賃金は130円(約13%)も安い

奈良県の最低賃金は2024年時点で986円と三重県よりも安く関西圏で最安の和歌山県と比べても6円の違いしかありません。一方の大阪府は1,114円と、時給で約130円の差があります。 1日8時間勤務、月20日稼働とすれば、パートスタッフ1人あたりで月2万円以上の人件費差になります。
さらに注目すべきは、奈良市や生駒市など大阪に隣接したエリアです。これらの地域には ニュータウンが多く、子育て中の主婦層を中心にパートタイマーの雇用が非常にしやすい環境が整っています。EC出荷に適した人材を安定的に確保できる点でも、大きなアドバンテージがあります。
③奈良の倉庫は運賃交渉面でも優位性がある

物流コストの中で大きな割合を占めるのが運賃です。奈良に拠点を置くことに対し、「運賃が高くなるのでは?」と懸念される方もいらっしゃいますが、これは大きな誤解です。
多くの企業が誤解しているのが、「ICの近さ=運賃が安くなる」という考え方です。確かに高速道路の出入口に近い倉庫は、一見すると配送効率が良さそうに思えますが、運賃が決まる最大の要因は「物流倉庫と運送会社の集荷拠点との位置関係」にあります。したがって、西濃運輸・福山通運・佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便などの集荷拠点に近いエリアのほうが、運賃交渉で有利に働く傾向があります。奈良県内にもこれらの主要運送会社の拠点は複数点在しており、大阪と同じような条件での配送が十分に可能です。
加えて、奈良には第二阪奈道路・西名阪道・京奈和自動車道など複数のICが整備されており、高速アクセスという観点から見ても優れた立地です。つまり、「IC近くの倉庫がいい」という従来の視点でも、「集荷拠点に近い方が交渉力が高い」という実務的な視点でも、奈良は十分に選択肢になり得るエリアなのです。
むしろ、大阪のように倉庫が密集していないため、運送会社も案件確保に前向きな傾向があり、運賃交渉の余地が生まれやすいのです。実際に当社では、大阪と奈良の両方に拠点がありますが、奈良の方が柔軟に対応してくれる運送会社が多いという実感があります。
<結論>大阪で倉庫を探すなら「奈良」という選択肢を視野に
倉庫選定において最も重視すべきは、賃料・人件費・運賃という三大コストの最適化です。奈良県は大阪と比べて賃料が安く、最低賃金も低いため人件費を抑えられます。さらに大阪市内やその近郊は物流倉庫が密集し、労働力の取り合いが激しいため、実際の人件費はさらに高騰しているケースもありますが、奈良であればそのリスクも低減できます。
また、物流量が過密な大阪と比べて、奈良では運送会社との価格交渉が有利に進む場合も多く、トータルコストを圧縮するうえで非常に有効な選択肢となるでしょう。
大阪で物流拠点を探す際、「奈良は不便なのでは?」と感じる方もいらっしゃいますが、実際には利便性・コスト・人材の3拍子がそろった、見落とされがちな優良立地です。
関東圏では、都市部から30km圏内という広い視点で合理的に倉庫を選定するのが常識となっています。大阪で物流倉庫を探す場合でも同様の視点を取り入れ、“コスト効率の良い物流倉庫”としての奈良を検討してみてはいかがでしょうか。