倉庫業（倉庫業務）とは？作業の基本的な流れ、効率化のポイントを解説

この記事では、物流の重要な要素である倉庫管理の基本とその役割に焦点を当てます。倉庫運営の基礎、商品の受け入れから保管、そして出荷に至るまでのプロセスを詳しく解説します。さらに、倉庫の効率的な管理と最適化のための実用的なポイントもお伝えしていきます。
物流分野における倉庫業の役割をより深く理解するためにも、この記事をぜひ参考にしてください。

「倉庫業」とは、倉庫の管理と運営を主とする事業を指します。これには、物理的な倉庫の維持・管理、倉庫運営などが含まれます。倉庫業は、商品の保管や流通過程における中心的な役割です。

一方、「倉庫業務」は、倉庫内で実施される具体的な作業を指します。これには、商品の受け入れ、検品、保管、流通加工、ピッキング、仕分け、出庫などの業務が含まれます。倉庫業務は、正確で迅速な運営によって、全体のサプライチェーン(供給の連鎖)の最適化に貢献します。倉庫業と倉庫業務は、それぞれ異なる側面を持ちつつも、物流とサプライチェーン管理の分野で緊密に連携し、業務の効率向上と顧客満足度の向上を目指しています。

倉庫業務は、さまざまな形態で企業の物流を支える重要な役割を果たしています。ここでは、その中でも特に重要な３つの倉庫業の種類について詳しく見ていきましょう。

普通倉庫業は、倉庫業界における最も基本的なタイプの倉庫とされ、様々な種類の商品、日用品から特殊な取り扱いを必要とする品目までを幅広く保管することが可能です。
この業種の特徴は、その高い柔軟性にあり、多様な顧客の要求に応える管理体制が強みです。

普通倉庫では、商品の受け入れから保管、そして出荷に至るまでの作業が一貫して行われます。これには、品質の管理、在庫の監視、セキュリティの確保などが含まれ、これらは効率的な物流システムの導入が欠かせません。
他にも、顧客の要望に応じて商品の流通加工、梱包、配送手配などの物流サービスを提供することもあります。

普通倉庫業は、BtoBおよびBtoC市場の両方で活躍しています。企業が大量の商品を一時的に保管する場合や、電子商取引(EC)における小規模な出荷をサポートする場合にも、この業種は重要な役割を担います。このように、普通倉庫業はその汎用性と柔軟性により、様々な業界やビジネスモデルに適応し、倉庫業の根幹をなす存在となっています。

冷蔵倉庫業は、特定の温度管理が必要な商品を対象にした倉庫業の分野です。このタイプの倉庫は、食品、医療機器、化粧品など、温度や湿度の変化に敏感な商品を保管し、品質の劣化を防ぐために設計されています。

冷蔵倉庫業の主な特徴は、厳格な温度制御と品質の維持です。これらの倉庫は、冷凍から冷蔵、または常温に近い特定の温度範囲に設定することができ、多様な温度帯での保管が可能です。湿度管理や空気循環といった高度な設備と技術が、商品の品質維持のために必要とされます。

特に、食品業界や医療機器業界において、冷蔵倉庫業は重要な役割を果たしています。
新鮮な農産物、冷凍食品、生鮮食品などは、品質を維持するために適切な温度で保管する必要があります。また、医療機器やバイオテクノロジー製品の一部は、特定の温度下での厳格な保管が必要であり、薬機法などの法規制に準拠した保管環境と資格が求められます。

このように、冷蔵倉庫業は特定の商品を適切な条件下で保管し、その品質を維持するために専門的な知識と技術を要する業種です。温度に敏感な商品、食品や医療機器の安全かつ効率的な流通において、冷蔵倉庫業は不可欠な役割を果たしています。

水面倉庫は、倉庫業法で定められた特殊なタイプの営業倉庫で、主に水面上で物品を保管することを目的としています。特に第5類物品（原木など、水面での保管が適している物品）の保管に適しており、これらの物品は陸上で保管すると乾燥や割れが問題となるため、水面上で浮かべて保管することで適切な湿度を維持します。

水面倉庫の設置基準には、周囲を築堤やその他の工作物で保護し、流失防止措置を講じることが含まれます。防犯対策としては、周辺の照明装置などの設置が求められます。また、この倉庫の使用にあたっては、登記簿謄本、確認済証、検査済証などの必要書類があり、建築基準法などの関連法令に適合している必要があります。

水面倉庫は、特定の物品の保管に特化しており、その特殊な環境と設置基準により、物品の品質を保つための適切な条件を提供します。このように、水面倉庫は、特定のニーズに対応するための特殊な倉庫ソリューションとして機能しています。

倉庫業務の「検品」「入庫」「保管」「流通加工」「ピッキング」「仕分け」「出庫」の各ステップについて確認していきます。

検品作業は商品の品質と数量の確認作業です。
検品は、倉庫業務において預かる商品の確認、返品のリスクを最小限に抑えるために行われます。

検品は、主に入庫時と出荷前の2回に渡って行われます。
まず、入庫時に行う検品では、届けられた商品が注文通りか、数量が正確か、破損や不良品がないかを確認します。この時、賞味期限やロットナンバーといった特定情報の正確性も重要なポイントです。これにより、在庫管理の精度が向上し、出荷前の検品がより効率的に行えます。

次に出荷前の検品では、顧客の注文に基づいてピッキングされた商品が正しいかを確認していきます。この段階での検品は、在庫の誤差を防ぐ上で特に重要です。数量や商品の種類の間違いを発見し、顧客に正確な商品を届けるための最終チェックとなります。

検品作業には一般的にバーコードスキャナーなどが用いられます。バーコードスキャンにより、商品識別と数量確認が迅速かつ正確に行えます。しかし、バーコードスキャンだけでは不十分で、特にBtoB物流では、出荷量が多くなる場合、全数を正確にスキャンするためのミスが起こりづらいルールが必要です。

さらに、ケース出荷とバラ出荷でバーコードが同一の場合、出荷数の誤認識を防ぐために検品作業員の細心の注意が求められます。同一のJANコードでも、ケース数とバラ数を間違えないように、検品作業の精度を高める仕組みと環境作りが重要です。

また、賞味期限が異なる同じ商品を扱う場合、単にバーコードをスキャンするだけでは賞味期限の商品を選別できないこともあります。このような状況では、検品作業員は商品の細部にまで注意を払う必要があります。

検品作業は、倉庫業務の効率性と顧客満足度を高めるため、細心の注意を払いながら行われます。誤出荷や返品を防ぎ、信頼性の高いサービスを提供するためには、検品作業の質を常に向上させるための仕組みや取り組みが必要です。

入庫作業は、商品が倉庫に到着し、適切に管理されるまでの作業です。この作業は、効率的な在庫管理と顧客満足度の向上に直接影響を与える重要な業務です。

検品が完了すると入庫作業です。まずは商品は適切な保管場所へと移動されます。この際、商品の特性に応じて、適正な温度や湿度を維持する必要がある場合もあります。

入庫作業を効率的に行うには倉庫管理システム（WMS）の導入が不可欠です。バーコードシステムの使用により、商品の追跡と在庫の管理が可能になり、常に商品の所在が明確に把握でき、必要時には迅速にアクセスできます。

入庫作業の効率化は、ピッキングや出荷作業の精度向上にも繋がります。適切に管理された在庫は、注文に応じたスムーズな商品のピッキングを可能にし、顧客への迅速な配送を実現します。

入庫作業は、倉庫業務の効率性と顧客満足度を高めるために、細心の注意を払って実施されます。正確な在庫管理と商品の品質維持を通じて、信頼性の高いサービスを提供するためには、入庫作業の質を常に向上させる取り組みが必要です。

保管作業は、商品を安全かつ効率的に管理することです。

商品が倉庫に入庫されると、それらは適切な保管場所へと配置されます。この段階では、商品の種類、サイズ、重量、さらには特別な条件（温度や湿度の管理が必要な商品など）を考慮し、最適な場所に保管されます。

保管作業は、商品の安全性と品質の維持という観点からも極めて重要と言えます。特に医療機器や危険物など特別な取り扱いを要する商品の場合は、適切な保管方法や安全対策が必要です。これには、特定の温度や湿度を維持するための設備や、危険物を安全に保管するための特別な区画などが含まれます。

保管作業は、倉庫全体の運営効率を高める上でとても大切です。適切に整理され、容易にアクセス可能な保管システムは、作業員の時間を節約し、全体の生産性を向上させます。さらに、定期的な在庫監査により、在庫の正確性を保ち、商品の損失や在庫差異を最小限に抑えることができます。

流通加工は、物流サービスのオプションで、商品が最終消費者に届く前に行われる加工や組み立て作業です。こうした物流サービスを行うことで、商品の市場価値を高め、顧客の特定ニーズに応えることが可能になります。

流通加工には、ラベリング、包装、組み立て、切り分け（カッティング）、シュリンク、ラッピングなど、多岐にわたる作業が含まれます。たとえば、商品に特定のラベルを貼ったり、プロモーション用の包装を施したりすることです。また、セット組みやアソート、特定の部品の取り付けなども流通加工の一環です。

流通加工の大きな利点は、商品が倉庫内で直接加工されるため、別の施設への輸送コストや時間を節約できることです。これにより、全体の物流コストの削減や市場への迅速な商品供給が可能になります。さらに、商品の最終形態を市場の要求に応じて柔軟に変更できるため、顧客の多様な要望に応えられます。

特に、輸入化粧品の一時保管や日本語表示ラベルに貼り替える場合、「化粧品製造業許可」が必要となります。他にも、「医薬部外品製造業許可」や「高度管理医療機器等販売業・貸与業許可」などの許認可を持つ薬機法対応倉庫を選ぶ必要がある製品もありますので注意が必要です。

流通加工は、倉庫業務において重要な物流サービスであり、商品の差別化と市場競争力の強化に不可欠です。流通加工を通じて、商品の価値を高め、顧客の特定ニーズに適応することが可能です。

ピッキングは、顧客の注文に基づき、正確な商品を選択し、出荷のために準備する業務です。

この作業は、注文書に記載された商品を倉庫内から探し出し、集めることから始まります。誤った商品の選択は、顧客の不満や返品につながり、企業の信頼性やブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

ピッキング作業では、商品の種類や数量に応じて異なるアプローチが求められます。例えば、小規模な注文や個人向けの注文では単品ピッキングが一般的ですが、大量の商品を扱う場合やBtoB取引では、パレット単位でのピッキングが有効です。

ピッキング作業の主な課題の一つは、ヒューマンエラーの発生です。これに対処するためには、作業員のトレーニングや、エラー防止のためのシステム導入が効果的です。例えば、ピッキング作業中にリアルタイムフィードバックを提供するシステムや、誤ったピッキングを防ぐ警告システムの導入があります。

仕分けは、入庫された商品を顧客の注文や配送先に応じて分類し、効率的な出荷を準備するための作業です。

まず、仕分けは、商品を特定の基準に基づいて分類することから始まります。この基準は、配送先、注文の種類、商品のサイズや種類によって異なることがあります。例えば、同じ商品であっても異なる配送先への分類や、プロモーション用商品と通常商品の分類などが行われます。

仕分け作業は商品の正確な配送を保証するために大切です。誤った仕分けは誤出荷が発生してしまったり顧客からのクレームを引き起こす可能性があるため、仕分け作業には正確性が高い手順が不可欠です。

仕分け作業の課題は、同時に多くの異なる種類の商品を取り扱う時です。大量の商品を扱う場合や多様な商品が混在する場合には、効率的かつ正確な仕分けが求められます。これを達成するためには、仕組みとシステム上の管理が必要となります。

出庫は、倉庫業務の最終段階であり、保管されている商品を倉庫から取り出し、配送の準備をする作業です。

出庫作業は、顧客からの注文に応じて行われます。注文が確定すると、倉庫管理システム(WMS)が必要な商品の場所と数量を特定し、ピッキングリストを生成します。作業員はこのリストに従い、商品をピッキングし出庫エリアへ移動させます。

出庫作業は、商品の正確な配送を行うため、正確性を確保するためのシステムや手順がとても重要になってきます。倉庫にあった倉庫管理システムを選び、ミスの起こらない環境を作り出します。

また、出庫作業時に商品の追跡情報を知ることも顧客との信頼関係を構築する上で重要です。出庫された商品がどのような手順を経て、どの配送先に向かうかを正確に記録することで、品質の透明性を確保し、顧客の信頼を得ることができます。

倉庫業務の効率化には、自動化技術の導入、最適化された倉庫管理システム、効率的なレイアウト設計、定期的な在庫監査が重要です。ここでは、5つの具体例を紹介します。

倉庫内のロケーション改善は、物流の効率を著しく向上させる要素です。適切なロケーション管理は、ピッキング時間の短縮、誤出荷の減少、作業員の負担軽減を実現し、結果として顧客満足度の向上に繋がります。

倉庫内のロケーションを改善するには商品配置の最適化が必要です。需要の高い商品を倉庫の入口付近に配置することで、ピッキングの効率が上がります。商品のサイズや重量に合わせた保管場所の選定も重要で、重い商品を下段に、軽い商品を上段に配置することが作業員の安全を確保することができます。

また、倉庫内のナビゲーションシステムの導入も効果的です。システムから商品の正確な位置情報を把握し、作業員が迅速に目的の商品を探し出せるようになります。これにより、ピッキング時間の短縮と誤出荷リスクの低減が実現されます。

定期的なレイアウトの見直しと改善も大切です。市場の需要や季節によって商品の動きは変化するため、定期的に商品の配置を見直し、最適化しましょう。これにより、倉庫は常に最高の効率で運営できます。

さらに、倉庫内の通路の広さや配置も、ロケーション改善の一環として重要です。通路が狭いと作業員の動きが制限され、効率が低下しますが、広すぎると無駄な移動が増えます。適切な通路の広さと配置により、作業員の動きをスムーズにし、時間を節約することができます。

業務の標準化は、倉庫運営における効率と一貫性を確保する重要な手段です。標準化された作業手順は、作業品質の向上、ヒューマンエラーの減少、生産性の向上に貢献します。

標準化の第一歩は、全ての作業に対する明確なガイドラインを設定することです。商品の受け入れから保管、ピッキング、出庫に至る各段階の詳細な手順をガイドラインに設定することで新人従業員の教育を容易にし、入社初日から即戦力として活躍してもらえます。

さらに、業務の標準化は作業環境の安全性を向上することができます。標準化された安全対策や緊急時対応手順は、作業員の安全を確保し、事故リスクを減らす効果があります。

作業動線の短縮は、作業員の移動距離を減らし、時間を節約し、生産性を高めることが可能です。

理想的な作業動線を実現するためには、倉庫内のロケーションの改善と同じく、倉庫内のレイアウトの見直しが重要です。商品の保管場所を頻繁にアクセスされる場所に近づけることで効率を上げることができます。需要の高い商品を倉庫の入口近くに配置することで、ピッキングや出庫作業の時間を大幅に短縮できます。

他には、関連する作業を物理的に近い場所で行うことも、移動を最小限に抑えることができます。例えばピッキングエリアと梱包エリアを隣接させることで、作業員の移動距離を減らし、作業の全体的な効率を向上させることができます。このように作業動線を短縮することで、作業員の負担を軽減し、生産性の向上に大きく貢献します。

ピッキング方法の見直しは、効率化の有効策です。適切なピッキング方法を採用することで、作業時間を短縮し、誤出荷を減らし、作業員の負担を軽減できます。

ピッキング方法を見直すためには、まず現在のピッキング手法の詳細な分析が必要です。ピッキングにかかる時間、エラーの発生率、作業員の動線などを調査しましょう。これにより、改善の余地がある領域を特定し、改善策を考案することができます。

次に、さまざまなピッキング手法を検討します。単品ピッキングは小規模な注文に適している一方で、大量の注文にはバッチピッキングやゾーンピッキングが効果的です。バッチピッキングでは複数の注文を同時に処理し、移動距離を減らし、時間を節約します。ゾーンピッキングでは、倉庫を複数のゾーンに分け、それぞれのゾーンでピッキングを専門化し、効率を向上させます。

倉庫管理システム（WMS）の導入は、倉庫運営の効率化や倉庫業務の根本的な解決が可能です。倉庫管理システムにより、在庫管理、ピッキング、出荷管理など、倉庫業務のさまざまな側面が最適化されます。

WMSの主要な機能は、リアルタイムでの在庫追跡と管理です。このシステムは商品の入庫から出庫に至るまでの全ての段階を正確に追跡し、在庫を管理できます。これにより、在庫過剰や不足、誤出荷、在庫差異を防ぎ、必要な商品を常に適切な量で保管することが可能です。

WMSの導入は、作業員の負担を軽減し、ヒューマンエラーのリスクを減少させます。直感的なインターフェースと簡単な操作性により、作業員はシステムを迅速に理解し、効率的に作業を行うことができます。

倉庫管理システムの導入は、倉庫業務の効率化、作業員の負担軽減、顧客満足度の向上に大きく寄与し、企業の持続可能な成長と競争力強化に貢献します。

【SANTA】現場を劇的に改善するWMS

三協のWMS「SANTA」は、物流品質を極限まで高め、誤出荷、在庫差異、未出荷をゼロにすることができます。SANTAはカスタマイズ性が高く、これまで多業種の企業様から依頼を受けた膨大な数のカスタマイズ事例が余すことなく標準機能として搭載されており、お客様の要望に合わせて完全オーダーメイドでのプラグインが実現可能となっております。

この記事を通じて、倉庫業と倉庫業務の重要性、そしてその特徴について詳しく解説してきました。

倉庫業務がどのように物流とサプライチェーンに貢献し、顧客満足度を高めるかを見てきました。適切な管理と効率的な取り組みにより、スムーズな商品の流れが保証され、ビジネスの成功に繋がることが予想されます。効率化は、作業員のモチベーション向上に繋がり、全体の生産性を高めます。倉庫業務のさらなる改善でビジネスの効率化と成長を目指しましょう。

関連記事

医療機器物流・メディカル物流
化粧品物流・コスメ物流
「三協さん、SANTAは変わらなくていいよ！」お客様の希望を99%叶えるシステム作り