カー用品の物流コストを抑えたい!改善方法を解説します
カー用品は、一般的な商品と比べてひとつひとつのサイズが大きいため、物流にかかるコストが高くなってしまいがちです。そのため、自社利益を効率よく向上させるためには、カー用品の物流コストを抑えることが大きな課題だといえるでしょう。
そこで今回の記事では、カー用品の物流コストを改善するための方法について、詳しく解説していきます。これまでカー用品の物流コストにお悩みだった方は、ぜひ参考にしてください。
カー用品の物流コストの内訳とは?
カー用品の物流コストと一括りに言っても、そこでかかってくる費用は主に左図の5種類に分けられます。
物流コストを抑えるためには、まずはこれらの詳細をしっかり理解しておくことが重要です。
1つずつ詳しく確認していきましょう。
内訳①:輸送費
物流コストとしてまず挙げられるのが、カー用品を運ぶために必要な輸送費です。
カー用品、特に自動車のパーツは、通常の物流と比べてひとつひとつのサイズが大きいため、輸送費が高くなってしまいがちです。
たとえば、ファンベルトやドアバイザー、パワーウインドウレギュレーターなどのパーツは長尺なので、通常のトラックでは運べず、専用のトラックが必要になることもあります。そして、ブロアモーターやエアサスコンプレッサーのように、サイズに加えて重量があるものの場合、重さに応じて輸送量が上がるケースも考えられます。
また、メーカーなどの企業に送る際は、複数個をまとめて発送できるものの、個々人のエンドユーザー向けとなると、ひとつひとつを個別に配送しなければならず、料金が割高になってしまいます。
輸送費は、物流コストの内訳の中でも、最も高い割合を占めます。そのため、物流コストを抑えるためには、真っ先に改善すべきポイントだといえるでしょう。
内訳②:保管費
保管費とは、名前の通り品物を保管するために必要なコストのことです。たとえば、自社倉庫で保管するのなら倉庫家賃が、他社倉庫を利用するなら委託費用が代表的な保管費として挙げられます。
カー用品はひとつひとつが大きくかさばるため、その分、保管に必要なスペースも大きくなります。その結果、自社倉庫にしても委託倉庫にしても、一般的な物流よりも保管費がかさんでしまいがちです。そして、メンテナンス用の消耗部品や、いわゆる「ケミカル類」のような薬品を含む消耗品、それらを扱うための器具・工具やカスタムパーツ、冷却系や電装などと、扱う品物のSKUが多岐にわたります。そのため、これらを効率よく保管するために物流ノウハウが必要とされます。
また、カー用品の場合は商品サイズが不揃いであるため、保管に必要となる什器が数多く存在します。以下はその一例です。
- パレット
- スチールラック
- ダンボール棚
- サポートラック
これらの什器を用意するためにも大きくコストがかかってくるため、カー用品の物流コストを改善するためには、可能な限り省スペースで品物を保管する方法を模索することが大切です。
内訳③:荷役費
荷役費とは、荷物を出し入れする際に必要となるコストのことです。具体的には、入出庫や梱包、仕分け、ピッキングなどにかかる費用を指します。
カー用品の荷役費で特に注意すべきは、梱包にかかるコストです。カー用品は万一にも破損事故を起こさないよう、梱包に細心の注意を払う必要があるため、通常の物流以上に気をつけるべきポイントがあります。以下がその一例です。
- 梱包ケースの中で商品が動かないよう、緩衝材を詰める
- 配送中に商品が動かないよう、OPPテープなどで梱包ケースに貼り付ける
- 梱包する商品にちょうど合うものが無い場合、梱包資材のリサイズを行う
- 重量のあるカー用品の場合は、底面と天面にダンボールを敷く
荷役費は家賃などの固定費と異なり、作業の効率化を図ることで削減が可能です。そのため、カー用品の物流コストを削減したい場合は、避けては通れない項目だといえるでしょう。
内訳④:管理費
管理費とは、物流を管理するシステムのために必要なコストのことです。具体的には、商品の仕入れや配送を管理する「物流管理システム」、顧客からの受注状況を管理する「受注管理システム」などの導入・運営にかかるコストを表します。
管理システムの導入には、ある程度まとまった費用が必要です。しかし、ここまで見てきたように、カー用品の物流は一般的な物流と異なる点が多いため、それに最適化した管理システムを導入しないと、十分な効果が発揮されません。
それに加え、カー用品は前述の通り種類が多岐にわたるため、管理には特段の注意が求められます。車種によって適合するパーツが変わり、年式によっても異なります。また、ガソリン系のパーツの場合は、重大な不具合に繋がる可能性が高く大変危険です。そのため、間違ったパーツを送ることのないよう、システムでの精緻な管理が必須といえます。
せっかくかけた管理費を無駄にしないため、そして安心安全にカー用品を届けるためにも、導入前にシステムとの相性や費用対効果をしっかり確認しておくことが大切です。
内訳⑤:人件費
最後に取り上げる人件費は、物流業務に携わるスタッフの給料です。
前述の通り、カー用品は種類が非常に多く、車種や年式に応じて適するパーツを選定しなければなりません。そのため、専門知識を豊富に持った、車に詳しいスタッフでないと作業できないとなれば、人件費がかさみ、高い運営コストを支払わなければならなくなります。
しかし、システム管理を徹底すれば、スタッフの専門性は必要なくなります。その結果、パートスタッフでも対応できるようになり、人件費にかかるコストを大きく削減できます。
また、繁忙期と閑散期で必要人員数に差が生じる場合は、人件費に無駄が発生しがちです。自社でのコントロールが難しい場合は、専門業者にアウトソーシングすることで無駄を削減できるでしょう。
カー用品の物流コストを改善させる方法とは
ここからは、カー用品の物流コストを改善させるための方法について解説していきます。
ポイントは、上記で挙げた5つの内訳のうち、どの物流コストに着眼するかということ。ここでは、特に効果的な方法を4種類取り上げます。1つずつ詳しく確認していきましょう。
方法①:輸送費の見直し
カー用品の物流コストを改善させたいなら、まずは輸送費の見直しを行いましょう。
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が2021年に発表した資料によると、全業種における物流コストのうち、54.3%と過半数以上を輸送費が占めています。カー用品は一般的な商品に比べて、ひとつひとつのサイズが大きく輸送費が割高な傾向があるので、その影響はより顕著でしょう。
そのため、物流コスト全体を改善させるなら、最も比率の高い輸送費を削減するのが近道です。また、仮に見直しの結果、輸送費が少額しか変わらなかったとしても、物流コスト全体に与える影響は大きいといえます。
具体的には、輸送するエリアやカー用品のサイズ、重量ごとにマッピングして、複数の輸送業者と交渉することが重要です。また、人間が個々のケースを判断しなくて済むよう、複数の輸送業者から最も安い組み合わせが選択されるような物流システムを構築しておくことが求められます。
方法②:拠点の集約
カー用品を保管するための倉庫など、作業拠点が複数個所に分散している場合は、それらを集約させると物流コストを抑えることができます。
拠点を集約させれば、倉庫の家賃をはじめとした保管費、そこで作業を行う人員を雇うための人件費、これら2種類の物流コストを大幅に削減することができます。
ただし、拠点を集約する際は、立地をしっかり事前に検討しないと、かえって輸送費が高く付く可能性もあるので、注意が必要です。
方法③:倉庫管理システム(WMS)の導入
倉庫で商品を管理するためのシステムを新たに導入するのも、物流コスト改善には非常に効果的です。
特に、入荷から流通加工などの荷役、そして出荷までの工程を一元的に管理できる「倉庫管理システム(WMS)」は、ぜひ導入しておきたいシステムでしょう。
WMSを導入することで、荷役費やそれに付随する人件費の削減が可能です。WMSで制御することにより、SKUや荷姿に応じた効率的なロケーション管理が実現します。その結果、同じ広さでもより多くのカー用品を保管でき、保管費の大幅な削減が期待できるでしょう。
ただし、システムの導入には相応の費用(管理費)がかかり、一度導入したら変更するのが難しいです。そのため、自社のカー用品管理に最適化できるよう、カスタマイズ性の高いWMSを選ぶことが重要だといえます。
方法④:物流業務をアウトソーシングする
物流業務を自社で行っている場合は、業者にアウトソーシングするのも方法の1つです。
物流業務の代行業者はその道のプロフェッショナルなので、非常に効率的に業務を捌いてくれます。そのため、委託にかかる費用を差し引いたとしても、自社で行うより低コストで物流作業を進められる可能性が高いといえます。また、自社でまかなう場合と異なり、物流にかかるコスト全体が客観的に見える化し、前述の5種類の内訳を気にせずに運用できるようになります。
カー用品はSKUが膨大にあり、扱いに専門知識が求められますが、知識を持つ人材を物流業務に従事させるのは非常にもったいないことです。顧客側も相当な知識やこだわりを持つ人が多いので、仕入れや接客、販売などの業務にこそ、専門知識を持つ人材を配置すべきでしょう。そのため、物流業務は代行業者にアウトソーシングし、自社の貴重な人材はその他業務に注力させるのが、売上拡大には効果的だといえます。
【まとめ】カー用品の利益アップには物流改善がポイント!
今回は、カー用品の物流コストを抑えるための方法について、詳しく確認してきました。
カー用品は一般的な商品と比べ、物流コストが高くなりがちです。そのため、少しでもそれらを改善できれば、より多くの利益を得ることに直結します。
今回ご紹介したことを参考に、自社のカー用品物流にかかっている物流コストを見直し、自社利益の向上を目指しましょう。
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