キッズアパレル物流の特徴と課題|改善のためのポイントを詳しく解説

近年ECでのアパレル販売の需要が増えてきたため、物流業務での課題も増加してきています。その中でも、キッズアパレルは特に注意すべき点が多いので、扱いに悩んでいる企業様も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、キッズアパレル物流について、その特徴や課題、改善していくためのポイントなどについて詳しく解説していきます。

キッズアパレルを展開している企業担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

キッズアパレル物流の特徴とは?

キッズアパレルを扱う物流には、通常の物流とは異なる特徴がいくつかあります。

ここでは、代表的な5つの特徴について、詳しく確認していきましょう。

特徴①:季節やトレンドに応じて需要が変化する

キッズアパレルは、季節やトレンドに応じて需要が変化し、流通量が大きく変動する特徴があります。たとえば、夏には水着や浴衣などが多く売れ、その他にも入学式(4月)や運動会(9月)、クリスマス(12月)などと、イベントや行事ごとに適切な服装があり、大人以上に春夏秋冬に合わせた衣服があるといえます。

 

これらの商品は、該当する季節やイベント時の「気温や降水量」で販売量が大きく変化します。そのため、需要に応じて在庫状況を見極め、少な過ぎて売り逃したり、多過ぎて倉庫を圧迫したりしないよう、機動的な在庫管理を行うことが求められます。そのため、リアルタイムでの販売状況を加味した発注や在庫管理を行うことが必要でしょう。

すなわち、品番単位で機械的に補充を行わず、カラーやサイズまで識別した細やかな在庫補充が柔軟にできるような倉庫運営が理想的です。

 

また、大人向けのアパレルブランドと同様にキッズアパレルでもトレンドの影響は強いため、動きが芳しくないアイテムについてはECセールなどで販売したり、福袋やセット加工で販売するなどの対応が必要です。こういった販売施策をスピーディに行うには、質の高いキッズアパレル物流が欠かせません。セール商材にするにはタグの付け替えが必要ですし、売れ残っているアイテムの中で、福袋やセット加工をサイズや色味に偏りが出ないように作成するには物流システムで制御するのが最も効率的です。

特徴②:サイズやカラーの展開が多く、管理が複雑

キッズアパレルは、サイズやカラーの展開が多いため、管理に手間がかかる点も特徴的です。

大人向けアパレルの場合は、S・M・Lというサイズ展開が一般的ですが、キッズアパレルでは身長に合わせて更に細かくサイズが分かれていることが多いです。その中には、90・100・110・120と10センチ刻みで展開されるものもあれば、5センチ刻みでさらに細かい場合もあります。

 

また、前述のとおり行事やイベントのために着用されるアイテムが多いことに加え、同じデザインをべースにしつつも「フリルやリボンの有無」×「配置場所」×「素材」で膨大な組み合わせを持つトップス、ユニセックスタイプとして豊富なカラー展開をしているショートパンツなど、大人向け以上にSKU(Stock keeping Unitの略で在庫管理上の最小の品目数を数える単位を表す)が豊富なケースも少なくありません。

 

一見同じ型の洋服であっても、サイズ・カラー・付属物が異なればそれは全く違う商品です。もしそれらを誤って届けてしまえば、顧客満足度の低下やクレームなどに直結してしまいます。ましてやギフト需要が多いキッズアパレルにおけるクレームはブランドイメージの著しい悪化になることは想像に難くありません。そのため、それぞれのSKUが混在しないよう、倉庫内で適切に管理する必要があります。

特徴③:安全性の確保が求められる

キッズアパレル物流では、大人向けのアパレル以上に安全性の確保が必要な点も重要です。

まず、子どもは大人より肌が敏感で繊細なため、素材には厳重に注意を払うことが求められます。タグに表記されている素材と異なるモノが使用されたり混紡された場合、摩擦による肌トラブルを誘発してしまう可能性に加え、顧客へのアナウンスや該当する商品の回収など多くの手間もかかります。

 

また、アパレルは布を針で縫う作業が不可欠なので、稀に縫製時の針が混入している可能性があります。万が一、針の混入があった場合、キッズアパレルでは怪我や誤飲などの可能性が大人向けと比べて飛躍的に高まります。店舗であれば販売スタッフが商品の陳列時や販売時に点検することができますが、接客・レジ打ち・ディスプレイ調整といった他の業務との並行作業となるため、完璧というわけにはいきませんし、EC販売であればそういったこともできません。

 

ECショップの口コミには、「針が混入しており、消費者センターやECモール(楽天やYahoo!など)に通報した」というコメントも見られます。このような内容は記録として残りますし、将来的な販売活動に大きな影響を与えてしまいますので、安全管理には特に注意が必要です。

 

その他にも、「ファスナーが壊れて閉まらない」「ボタン取れかかっており、子供が誤飲しそうで怖かった」といったネガティブな口コミも少なくないため、ボタンやファスナーの取り付け不良が無いかの確認なども重要です。キッズアパレルを扱う物流では、子どもが安心して着用できるよう、可能な限り厳格な品質管理と、丁寧な検品作業が求められます。

特徴④:素材に適した温度や湿度での保管が必要

キッズアパレルは、使われている素材に応じた温度・湿度での保管が必要という特徴もあります。一括りに洋服といっても、その素材には綿(コットン)やウール、ポリエステルなどと、多種多様な原料が使われています。たとえば、綿やウールをはじめとした天然素材が使われている場合、倉庫内の湿度が高いとカビが発生する原因になります。また、複数の洋服を重ねて保管してもカビが発生しやすいので、密着し過ぎないように商品の置き方や配置方法を工夫して保管する必要があります。

 

ポリエステルなどの化学繊維の場合は、天然繊維に比べてカビの発生リスクは少ないですが、温度が高いと生地が劣化したり、直射日光や照明で色焼けが発生したりする可能性があります。そのため、使われている素材に応じて、「湿度が50%未満の風通しの良い場所に保管する」などの各商品に適した温度・湿度の下で管理することが重要です。

 

キッズアパレルはギフト需要が多いため、せっかく購入した商品にカビが生えていたとなれば、購入者は2度とそのブランドで買い物をしないでしょうし、そのようなネガティブな内容がSNSやブログなどで投稿されてしまえば低評価の口コミが拡散されることも予想されます。温度や湿度を24時間体制でモニタリングしている物流倉庫もありますので、自社のアイテムの中で特に注意が必要な品番だけでも管理を強化してみてはいかがでしょうか。

特徴⑤:ギフトが多く、適切な梱包や流通加工が必要

キッズアパレルは、発送時の梱包の仕方や流通加工においても、細心の注意が求められます。

たとえば、資材の強度や緩衝材が不十分であったり、商品の詰め方が杜撰だった場合、配送の過程で中身が崩れ、お客様が開封したときには傷や汚れがついてしまったり、皺だらけになってしまうこともあります。

 

そのため、配送過程で形が崩れないよう、商品の性質や荷姿に合わせて適切な梱包資材を正しい梱包ルールに基づいて使用することが不可欠です。

 

また、キッズアパレルは大人向けアパレル以上にギフト需要が多く、ギフトラッピングの頻度が高い点も特徴的です。「30種類のラッピング資材を揃えている」「複数の商品のうち、一部商品だけをラッピングする」「一緒にノベルティやギフトカードもセットする」など、顧客満足度の高いラッピング対応を実現しようとすれば相応の手間がかかります。そのため、精度と効率化を図るためには、業務フローを見直したり、システムを導入してデジタルで制御するといった対策が求められます。

キッズアパレル物流における課題

キッズアパレルを扱う場合、通常の物流とは異なる点で課題が発生しやすいです。

ここでは、キッズアパレル物流に特有かつ、「特に気をつけたい3つの課題」について確認していきましょう。

キッズアパレル物流の課題①:検品に時間がかかり、出荷の遅延が生じやすい

アパレル商品は、製造工場からの出荷前に「汚れやほつれなどの不備がないか」の検品を行いますが、先述の通りキッズアパレルは安全性の問題から「異物混入やファスナーの破損チェック」など、入念な検品が必要です。

 

検品には抜き取り検品と全数検品がありますが、コストやスピード感の兼ね合いにより抜き取り検品を行うことも少なくありません。抜き取り検品で何も問題がなければスムーズに納品できますが、抜き取り検品で問題が見つかった場合は、ひとつを弾くだけでなく、同じ生産ロットの製品すべてを確認しなければならないため、入荷スケジュールに遅延が生じます。

 

一方で、キッズアパレルは季節のフェアや店舗でのイベント販売が多く、入荷が遅延したとしても販売開始日をずらせないため、非常にタイトなスケジュールで自社店舗・卸先への出荷作業を終わらせなければなりません。キッズアパレルのSKU数が多岐に亘っていること、一般的なアパレルと比較して商品単価が安く一回あたりの注文点数が多い(通常のアパレルECであれば1回あたりの注文は2~3点だが、キッズアパレルの場合は10点前後となることもある)ことも考慮すると、非常に高い物流ノウハウが求められることになります。

キッズアパレル物流の課題②:返品が多く、業務が複雑化しやすい

近年では、EC通販の「返品無料」などの施策が常態化していることもあり、洋服は返品業務が発生しやすい商材です。その中でも、キッズアパレルは購入者(親)と着用者(子ども)が別であるケースが多く、サイズ違いや色味などが好みに合わない(商品到着後に子供が着てくれないというケースは多い)といった理由から、返品交換の頻度が高い点が課題といえます。

返品された商品は、再度販売が可能かどうか改めて検品したうえで棚入れする必要がありますので、物流業務全体を大きく圧迫してしまいます。

 

 

EC返品はどのタイミングで倉庫側に返送されるかの予定データがありません。そのため、返品データの突合せについてはどうしてもアナログでの作業が発生します。とはいえ完全に手入力で対応すれば時間も掛かりますし、似たような品番と間違えたり、異なるサイズやカラーを入力する可能性もあります。そのため、WMSを使って出荷検品時に作成したデータを呼び出すことで手入力の手間を最小限にしつつ返品入庫の処理をデジタルで行うことが望ましいでしょう。

 

売れ筋のアイテムなどは棚入れをスピーディにしなければ機会損失が大きくなるため、①「長期不在」「受け取り拒否」などのエンドユーザーの手に触れていないものを優先的に棚入れする仕組みや、②出荷情報をキーに返品データを自動的に呼び出すシステムを構築するなどのシステム構築を行うことが重要です。

 

EC返品だけではなく、百貨店や量販店などからの返送対応でも独自の返品システムを構築するメリットは非常に大きいと言えます。EC返品とは異なり返品データはあるものの、複数店舗からの返品のためボリュームが大きく、迅速な対応をしなければ大きな機会損失となります。また、「百貨店タグをはずし、すぐに棚入れしてEC販売するもの」「次の季節にカセット対応をするため、棚入れをせずに別途保管するもの」などの優先順位をつけて棚入れを進めつつ、店舗ごとの入庫予定と実際の数量の差分を記録するには専用の物流システムを構築することが不可欠です。さらに、キッズアパレル企業によっては使用している基幹システムに独自のカスタマイズをかけている(かつ頻繁にアップデートされる)ことが多く、そのシステムに連携できる形で物流データを生成する必要があるため、注意が必要です。

キッズアパレル物流の課題③:在庫量の変動が激しく、スペース確保が難しい

先述の通り、キッズアパレルはSKU数が多いことに加えて、同じSKUのアイテムでもEC在庫と店舗用の在庫を物理的に別のロケーションで管理している企業が少なくありません。

 

また、季節によって“商品の体積”や“需要”が大きく変動するため、

季節ごとに在庫量を調整し、その都度適切な保管スペースを確保しなければなりません。

たとえば、ダウンやコートなどの厚手の衣服が多い冬に合わせてスペースを空けると、夏には余剰スペースが生まれてしまいます。また反対に夏に合わせてスペースを作ると、冬には在庫を収める場所が無くなってしまいます。それに加えて、着物や水着などの季節性の高い衣服のため、気温や雨量によって販売量が大きく異なるため、天候によっては在庫が予想外に余ってしまうということもあり得ます。

そのため、キッズアパレルを倉庫で管理する際は、システムで在庫の一元管理を行うことにより効率的なロケーション管理を行うことが必要です。また、需要予測に加えて日次レベル販売状況をSKU単位できめ細かくモニタリングすることによって、①機動的な仕入と販売を行うこと②ケース保管とピース保管の適正比率を見極めて最小限の在庫スペースで管理することが必要です。

キッズアパレル物流を改善させるポイント

キッズアパレルの物流業務には、以上のように他の商材とは異なる特徴があり、課題も多く存在します。そのため、売上や利益を拡大させるには、これらを踏まえて物流品質を改善し、生産性を高めていく必要があります。

ここでは、キッズアパレル物流を改善させるポイントを4種類確認していきましょう。

ポイント①:各種コストを見える化する

キッズアパレル物流を改善させるには、まず現状でどれくらのコストがかかっているかを確認することが大切です。そのためには、倉庫の家賃(保管コスト)や人件費(作業コスト)、運送会社へ支払う配送料(運送コスト)など、各種コストをそれぞれ「見える化」することから始めましょう。

 

まずは保管コストですが、前述のとおり、キッズアパレルはSKU数が多くなるため、どうしても在庫スペースが横に広がってしまいます。保管している品番数、SKU数に対して使用しているロケーション数とその容積を算出し、保管効率を検証しましょう。「EC在庫と店舗用在庫を分けている」「取り置き分やサンプル出荷分を区分して保管している」「余剰在庫のフロアが違う」といった場合、後述する業務フローの構築や物流システムの導入によって保管効率を大幅に改善することが期待できます。また、商品の保管場所以外にも、出荷検品や梱包を行う“作業スペース”や出荷指示をパソコン端末で確認し、帳票類(ピッキングリスト・納品書・送り状など)を印刷する“事務スペース”も保管コストに含まれます。

 

次に、人件費の見える化です。ここで注意することが2つあります

1つは「作業工程ごとに算出する」ということです。

 

例えば「出荷業務」を例にすると、

①商品のロケーションまで移動する時間

②保管場所から商品を探して取り出す時間

(ロケーションに複数のアイテムがある場合は探す時間が長くなる)

③ピッキングした商品を検品・梱包の場所まで持っていく時間

④その商品の内容や数量が注文と一致しているかを検品する時間

⑤商品を梱包して(ギフト包装の場合はその時間も)送り状を貼る時間

など、複数の工程に分かれます。

 

2つ目に、「物流に関わる全ての人件費を例外なく算出する」ということです。

キッズアパレル物流では、物流部門以外のスタッフが繁忙期(「楽天スーパーSALE」「超PayPay祭」など)の入出荷作業を手伝うことが頻繁にあります。その他にも、店舗スタッフが倉庫から届いた入荷商材の枚数を確認したり、並べやすいように仕分けをする場合、それも作業コストになります。

 

ただし、これらの工程ごとに細かい作業時間を正確に算出しようとすれば作業者1人に対して観測者1人がリアルアイムで計測することが必要となり、算出するためのコストが大きくなってしまいます。作業者自身がストップウォッチで計測しようとすれば作業に集中出来ず、生産性が低下してしまいます。

 

 

三協では、ビデオ映像とバーコードでスキャンされたログの活用に加え、システム画面でタップすれば従業員一人一人の“業務ごとの作業内容”を自動的に計測・同期させる倉庫管理ステムを構築しており、コストと手間をかけずに作業時間を正確に算出できる仕組みを整えています。また、結果を元に算出された標準的な作業時間をベースにアルバイトスタッフと定期的に面談を行い、生産性が高いスタッフに共通する動きをビデオで共有しながら、全体の生産性を高めるべく改善点を協議し、PDCAを回しています。

 

それぞれのコストを見える化した後、無駄な保管スペースや残業が生まれていないか、配送車の積載率に無駄がないかなど、ひとつひとつの詳細をチェックしましょう。それによって無駄な部分を見極められたら、この後挙げる各種手段を講じて、なるべく早く是正することが大切です。

ポイント②:売上や利益を拡大するために必要なロケーション管理や物流フローの確立

業務内容に合わせてロケーション管理をカスタマイズする

キッズアパレルの物流において、業務内容に合わせてロケーション管理や物流フローをカスタマイズすることは重要なポイントです。特に、どこかに無駄や非効率的な箇所が見られたら、抜本的に見直す必要があります。

 

たとえば、保管効率の数値に問題があったとします。どの企業にとっても適正なロケーション管理となる手法というものはありません。定番率の高さ、商品入荷時のアイテム数、卸先への納品ルール、EC販売における出店モール数、返品やノベルティ対応といった販売施策など、同じキッズアパレル企業でも、効率的な保管方法は全く異なります。

 

定番比率が高くソリッド入荷であれば、固定ロケーション×1ロケ1SKUとなるような在庫管理が望ましいでしょう。1つの段ボールにバラバラでの商品が同梱で入荷する場合は、フリーロケーション×1ロケ多SKUにすることで保管効率を高めることができます。また、ロケーションの空き状況によってロケ移動をスピーディに行うことも大事です。1つのロケーション内のアイテム数が明らかに減っている場合はそういったロケーション同士を合算し、保管コストを下げることができます。

 

プログラムで制御することによって、①EC在庫と店舗用在庫を同じロケーション内で管理することや②取り置き、先日付の出荷対応、サンプル出荷なども物理的に区別することなく在庫管理をすることが可能となり、さらに在庫を圧縮することができるようになります。

 

業務内容に合わせて物流フローをカスタマイズする

販売戦略や仕入施策にマッチした最適な業務フローを物流側で構築できれば、売上の拡大や作業コストの圧縮によって利益を高めることが可能です。具体的には複数パターンのギフトラッピングやノベルティ対応などによって顧客満足度を高めることが可能です。また、柔軟な返品・交換によって、購入のハードルを下げるとともに客単価を高めているキッズアパレル企業もあります。返品に対応していたとしてもスピード感がなければ、売れ筋のプロパー商品の棚入れが遅れたことで旬が過ぎてしまい、定価販売で売れなくなるリスクがあるため注意が必要です。

 

EC返品物が遅くとも次の日には販売可能になっていない場合は要注意かもしれません。

その他にも、値下げ品番を使用したカセット作成やリアルタイムでの販売状況を加味した福袋の作成なども売上を拡大するには欠かせない施策といえます。

 

その企業にとって最適な物流オペレーションを構築することにより、作業コストを圧縮することも可能です。たとえばピッキングのプロセスにおいても、シングルピックや集約ピック、種まきなど多様なテクニックがあります。購入頻度の高い商品やセット購入されやすい組み合わせを事前に作り込むことに加え、注文状況に応じて複数オーダーの集約ピックや複数商品のトータルピックなどを柔軟に織り交ぜることにより歩行時間を大幅に圧縮、作業効率を高めることができます。その他にも売れ筋の商品で即出荷が掛かるアイテムであれば棚入れをせずにパレットロケで仮ロケ管理を行い、残りを正規のロケーションに棚入れすることで作業コスト圧縮するということも可能です。

 

物流オペレーションの構築において大事な視点が“単純化”と“標準化”です。

三協では業務フローや作業マニュアルについて、入社初日でもそれを読むことで熟練スタッフと同様の品質で仕事ができるレベルまで磨き上げています。そうすることにより、正社員ではなくアルバイトスタッフで対応することが可能になり、コストの圧縮と変動費化で実現できます。また、新人パートスタッフであっても即戦力となるため、研修コストや引継ぎにかかる手間を抑えられます。さらに、1人のスタッフが特定の物流現場に関して専属となることなく、他の現場でも業務ができるため多能工化を進めやすく、仮に時間が空いた場合も他の業務の応援に当たることが可能なため、手待ち時間の圧縮にも繋がります。

ポイント③:物流フローを具現化するためのシステム導入

前述のとおり、キッズアパレル物流を改善するためには業務に適したロケーション管理と物流フローの構築が重要です。その実現に欠かすことが出来ないのがWMSによるシステム制御です。

WMSとは「倉庫管理システム(Warehouse Management System)」の略で、物流の要である倉庫業務を効率化するためのシステムであり、入出荷データとロケーションをリアルタイムで紐づけることによって庫内在庫を無駄なく効率的に扱えるようになります。

 

WMSを使用すれば、商品の荷姿、SKU数、販売チャネル、入出荷の特徴などに合わせてロケーションの階層(ゾーン・列・連・段・間口)やロケーション番号を設定するため、保管効率を高めることが可能です。また、在庫の一元管理をデジタル上で行えるため、在庫スペースを圧縮しつつ

「EC在庫と店舗用在庫」「営業担当の取り置き分」「サンプル出荷」などをデータ上で正確に管理することが可能です。さらに、1つのロケーション内で保管できるSKU数についても自由に変更すること(最初は1ロケ1SKUで設定していても、その後にSKU数の増加に伴って1ロケに複数SKUを入庫できるように設定を変更するなど)で効率的に空間を使用することができます。

 

また、WMSを導入することで、複数パターンのギフトラッピングやノベルティの対応を臨機応変に行うことが出来ます。三協ではラッピングやノベルティの組み合わせに関するセットマスタを登録することにより、出荷検品画面に正しいラッピング画像やノベルティ画像が出てくる仕様にしています。また、ラッピング用紙やノベルティについても疑似的にバーコードを生成することにより、間違ったものを使おうとすればアラームにより必ず気づくようなシステムとなっています。

 

柔軟な返品交換についても、WMSの出荷データを返品予定として活用することにより、突然のEC返品があってもデータを呼び出すことにより、素早い返品処理を行うことができます。三協ではその企業にマッチした返品処理システムをWMSの中に構築しており、越境ECも含めて10以上のECモールで販売しているキッズアパレル企業様からも、「EC返品において、当日中の棚入れが実現しており非常に助かっている」と喜びの声を頂戴しています。

 

三協のWMSは、ECモール(楽天やAmazonなど)、カートシステム(Shopifyやfutureshopなど)、受注管理システム(ネクストエンジン、CROSS MALLなど)との連携が非常に柔軟でシームレスであるため、ECモールの数が多くても購入履歴からの情報検索がスピーディに行えます。したがって、返品交換における受注代行処理(金額の修正、決済手段の変更、在庫数の調整、ポイントの返還)もWMSを用いて行うことが出来ます。

ポイント④:専門業者にアウトソーシングする

以上のように、各種コストを見直し、キッズアパレル企業の経営方針(仕入や販売の戦略)にマッチした物流フローとそれを実行するためのWMSを構築すれば、確実にキッズアパレル物流の改善に繋がります。

 

しかし、これらを自社で完結するのが難しい場合は、専門業者にアウトソーシングするのも手段のひとつです。専門業者は物流に関する充分なノウハウを持っているため、自社で行うより格段に効率的な物流を実現してくれます。アウトソーシング業者を選定する場合、キッズアパレルに関する業務委託経験があるか、品質の高いサービスを行っているかなど、信頼できる業者か否かを必ず確認するようにしましょう。

 

「業務委託経験があるか」「信頼できる業者か」を判別するための有効な方法は、実際に倉庫を訪問し、アパレル企業(できればキッズアパレル企業)のオペレーションや物流システムを見せてもらうことです。併せて実際の保管スペース、在庫精度、1日あたりの入出荷量を具体的に確認することで数値的なイメージがつくのではないでしょうか。

 

また、営業担当者のヒアリングスキルも重要です。本に書いてあるような型どおりのヒアリングでは、自社の特徴(取扱い商材、入出荷の頻度やボリューム、販売チャネルなど)にマッチした物流提案を行うことはできません。

 

反対に具体的なヒアリング(SKUごとの入出荷データ、卸先への納品ルール、使用している基幹システムなど)が出来るということは、キッズアパレル物流に関する知見や経験が蓄積されているからこそなせる業です。すなわち手厚いヒアリングができるということは信頼できる倉庫会社であるともいえます。

【まとめ】キッズアパレル物流

今回は、キッズアパレル物流について、具体的な特徴や課題、改善のためのポイントなどを確認してきました。キッズアパレルはサイズやカラーなどの種類が豊富であることに加え、ギフト需要の多さに伴うラッピング比率、返品交換の比率が相対的に高く、特に丁寧な検品が求められることもあいまって物流業務が複雑になりやすいと言えます。

 

各種コストを見える化し、経営戦略に応じた物流フローとそれを具現化する倉庫管理システムの開発を行えば改善が見込めますが、自社での運用が難しい場合はアウトソーシングことも有効な選択肢です。専門業者に委託すれば、自社で行うよりも手早く、かつ間違いのない物流が実現します。今回ご紹介したことを参考に、自社に合った形で物流業務の改善を進めていきましょう。三協では、様々な業種のEC物流、D2C物流のアウトソーシング、物流課題の解決に対応しております。物流改善のご相談など、お気軽にお問い合わせください。

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