返品処理とは?アパレルに返品がよく起こる原因や顧客満足度向上のためのポイント紹介
返品は物流業務の効率化にとって大きなボトルネックであり、特にアパレルECでは返品が起こる頻度は高くなります。WWDジャパンによると、ECで購入した商品の返品率は実店舗での購入による返品率10%なのに対し通常約2倍の20%程でありますが、アパレルECでの平均返品率は30%程とされており、他業界に比べて返品率が高い傾向にあります。
商品が返品されてしまった場合、綺麗な状態で返ってくるとは限りません。企業側は返品された商品をリバイバルし、改めて販売する必要があり、その作業に掛かる費用は企業負担となります。
リバイバル作業には返品商品の良品・不良品の仕分け、たたみ直し、ビニール袋入れ、タグの付け直しなどがあります。返品を抱えると返品分の保管・作業スペースの確保や、作業を行うスタッフが必要など、本来であれば掛からなかったコストが発生します。
返品処理がスムーズに行われ、インターネットでの買い物がしやすくなれば顧客満足度を高めることも可能ですが、具体的な改善方法が良くわからない担当者もいるかもしれません。そこで、アパレルを中心に返品処理の特徴や原因、顧客満足度を高めるためのポイントを解説します。
返品処理とは
自社サイトに加えて楽天やAmazonなど、ECショップなどで商品販売を行う事業者が、顧客の返品対応を行う一連の流れを返品処理と呼びます。その中には顧客が商品の返品をECサイトで申し出てから倉庫で商品を受け取り、チェックして交換や返金作業などを行うことまで含まれます。
アパレルに返品処理が多い理由
アパレルは返品処理がよく行われる業界です。返品が多い理由としては、実物を見て商品を選んでいないため素材や色合がイメージしていたものとは異なっていたり、実際に試着していないことでサイズが合わなかったりすることなどが挙げられます。
返品率割合の相場
前述の通り、返品が起こる割合としてはEC全体で15〜30%とされており、10%以下しか起こらない実店舗での返品率と比べて2〜3倍にも及びます。また、返品はそれだけで企業側の費用負担や損失を増やしてしまいます。したがって、EC事業者は返品が増加しないための施策(商品画像を見やすく配置するなどすることにより、消費者のイメージ違いを減らすなど)を具体的に実施し、返品による機会損失が増えないようにしています
返品が起こる原因
ここでは、アパレルECを中心に返品が起こる原因について3つ取り上げます。
(1)サイズや色、素材の着心地などが想像と違う
アパレルECで最も多い返品理由が、サイズのフィットや色が購入前のイメージと異なるというものです。特に衣服は実際に着てみないとサイズや生地の質感がわからないことに加え、メーカーによっては同じMサイズ表示でも着心地やシルエットなどが異なることがあります。
また、パソコンやスマホで見える画面は実際の商品と比較すると何分の1もの小さな画像であること、視覚的に脳への負担を減らすためのブルーライトをカットするフィルムなども色のイメージを変えてしまう要因としてあげられます。
(2)不良品なので返品する
ほつれや汚れなど、返品理由が販売側にあるケースです。
企業が不良品に対する返品対応を中途半端に行うことは許されず、早急に対応できない場合はブランドイメージにも直結するため、迅速かつ確実に返品処理を実行する必要があります。
不良品の返品作業の場合、ユーザーにネットでの再注文をお願いすることも難しいため、電話やメールで担当者が例外的な受注処理を行うことが多いのが現状です。例外処理はアナログ作業で行われるため、入力間違いなどの人為的ミスが発生する可能性が潜んでいます。その他にも、お詫び状の送付や不良品の引き取り手配なども発生します。
不良品を受け取った顧客はすでにブランドに対する不信感を抱えており、再注文の時点で更なるトラブルが発生すれば二度とそのショップで買い物をするはないでしょう。最悪の場合、SNSや口コミサイトにネガティブな口コミを書かれる可能性も少なくありません。
したがって、不良品や誤発送による返品に関しては現場で2次的なエラーが発生しにくいように作り込まれたシステムを構築することが不可欠です。さらに可能であれば、不良品が届いた顧客が次回購入する際に「購入のお礼と前回の不良に関する謝罪メッセージを改めて添付する」などのCRM施策にも柔軟に対応できることが望ましいと言えます。
(3)購入後に気が変わってしまう
今は数多くのアパレルブランドが乱立しており、その企業でしか買えない商品というのは多くありません。その結果、購入してから手元に届くまでに時間が掛かる場合、その間に気持ちが変わってしまったり他のサイトでみた類似品が欲しくなったため注文をキャンセルすることがあります。
この返品を防ぐには、注文から出荷までをよりスピーディに対応することが重要です。例えば三協の場合は、当日の13時までの注文は必ずその日に発送するなど、注文後のキャンセルの数を可能な限り抑えたアパレル物流を展開しています。
その他にも、お客様からの質問に対して回答が遅れてしまったり、依頼を断っていますと注文のキャンセル率は確実に高くなります。「複数の注文を同梱してまとめて欲しい欲しい」「期限を超過してしまったが今日中に届けて欲しい」このような依頼に対しても可能な限り柔軟に対応することでキャンセルを低くすることができます。
返品処理の流れ
企業側における返品処理の手順は以下の通りです。
(1)返品申し込みの受付
返品処理では、最初に顧客が返品を申し込みます。EC事業者によって返品申込みの手続き窓口は方法が違うため、個々に確認を必要とします。主にAmazonやZOZOTOWNのようにサイト内のルールに沿ってシステムの中で簡潔するパターンと、QVCジャパンなどのように手書きで返品交換連絡票への記入や電話での問い合わせで返品の手続きをするパターンがあります。企業側はその申込を受けて初めて返品処理を開始します。
(2)商品の発送(送り返し)
次に、返品予定の商品を企業の返品窓口に送ってもらいます。返品を申し込んでも商品が送られてこなければ返品処理が進まないため、返品時に不可欠な作業といえます。返品商品を送る方法は、ヤマトや佐川など指定された配送業者を使うケースや着払い・元払いで宅配業者を自ら手配するケースなどさまざまです。
(3)返品商品の確認し、返金や再送手続き
返品予定の商品が届いたら、検品して返品を進めるのに問題ないかを確認します。返品の規定事項に抵触する事象(下着などそもそも返品の対象外、購入から2週間を超えており日数を過ぎているなど)があれば返品を中止します。返品に問題がなければ、そのまま交換や返金手続きに移行し、顧客に対して決められた対応をします。
通常、返品してからの一定期間内に交換や返金処理が行われます。しかし、昨今ではクレジットカード決済やコンビニ決済など決済方法が多様化していることに加え、特定の商品を返品することによって送料無料ラインからはずれてしまった場合のアナログ対応が必要であり、返金対応は煩雑です。さらに、返品の種類によって送料負担が店側か顧客側で変わる場合の説明や使用したポイントの返還作業なども一つ間違えればその後のクレームに繋がりかねません。
(4)再販売・破棄処分
返品された商品は物流センターで一枚ずつ検品され、再び良品在庫として倉庫内で保管されるか、破棄処分されます。商品の状態が良ければ定価商材として店舗やECモールで販売されます。商品の販売時期や状態に応じて少し価格を下げてセール商材として再販売することもあります。
返品処理が遅れると再販に時間が掛かってしまいます。インスタグラムなどのSNSの普及やファッションインフルエンサーの登場もあり、アパレルにおける流行はより多様化かつ短期化しています。したがって、迅速な返品処理と再販体制を整えることにより、どれだけトレンドやニーズを捉えた販売活動を機動的に行えるかが売り上げ拡大のカギとなります。
顧客満足度を高めるため返品処理のポイントとは
顧客満足度を高めるには、返品処理を効率的に行い、顧客関係を深める対応が必要となります。
素早い対応
顧客満足度を向上するために有効なのがスピーディーな返品処理を行うことです。顧客にとっては返品が長引くことは不満でしかありません。不要な商品が返金も交換もされずに待たされることで顧客満足度とそのブランドに対する信用度が低下します。できるだけ早く返品対応することが顧客満足度を向上するためのポイントといえます。
顧客との関係性を深める
品に対する誠実さや丁寧な対応は顧客満足度の向上につながるだけでなく、その企業のファン定着やリピーターの増加をもたらします。顧客との関係を深めることで得られる副次的効果を返品処理によって実現できます。
カスタマーレビューの依頼
返品の際に迅速かつ誠意ある対応をして顧客に満足していただけたら、その返品体験をレビューとして記載してもらうことも検討してみてはいかがでしょうか。
返品が少ないに越したことはありませんが、それでも買い物をしていれば返品や交換は必ず発生します。その体験がシンプルでポジティブであるとのレビューが増えれば、購入の敷居を大きく下げることに繋がるでしょう。
返品処理における会計処理のタイミングとは?
帳簿や伝票の修正は、返品処理が完了してから行うのが一般的です。店舗の返品処理の場合は、購入者が実店舗に足を運び即日返品処理が行うことができます。一方、EC通販の返品処理は、購入者が商品を返送するための配送に時間がかかるため、完了までに時間がかかりますので、帳簿や伝票の記入は必要です。
返品処理で顧客満足度アップを目指そう!
最近ではエアークローゼットやメチャカリ、EDIST.CLOSETのような洋服のレンタルサービスの需要が高まっています。これらのサービスは顧客と物流センターとの間で返品作業が確実に行われることが前提のサービスです。
また、ロコンドやAmazonFashion、マガシークのように、試着という名の返品を販売戦略として売上を伸ばしている企業も少なくありません。昨今需要が高まるこれらのサービスはスピーディかつ柔軟な返品作業の上で成り立っており、返品作業を制することはブランドの差別化にも繋がります。
その他にもKIBACOWORKSなど、返品を可能にしたら複数点のまとめ購入が増えたことで売り上げ単価が3倍程度になったというアパレル企業の事例もあります。
したがって、返品処理を素早く確実に対応することは売り上げを高める重要な要素となりえます。しかし、自社内では返品処理の高速化や対応力に限界があるという企業も少なくありません。そこで、アウトソーシングすることにより返品処理を効率化するということは有効な選択肢となります。
私たち三協は、スポーツアパレル、レディースアパレル、紳士服、赤ちゃんブランドなど、非常に多岐に亘るアパレル事業者様より物流のお仕事を頂戴しており、シーズンやトレンドに合わせた機動的な返品システムを構築しております。アパレル商品は特にシーズンや流行の移り変わりが激しく、返品処理に時間がかかると再販までのタイムラグが発生し大きな販売機会の損失に繋がります。
三協では、専用のアパレル返品システムを用いて瞬時に返品商品の購入履歴を検索、特定し、元商品の棚入れと交換用商品の発送をスピーディに実現することが可能です。Amazonや楽天など20超のECモールでレディースアパレルを販売しているお客様もこの返品システムを用いることによって、返品が物流センターに到着次第良品として再販売が可能となっており、売れ筋商品を最後の一枚まで無駄なく販売することに貢献しております。
また、ECの返品を難しくさせる要因として、エンドユーザーからの返品はタグが外されていたり、返品伝票が入っていなかったり、入力を間違ってしまったりしてスムーズに返品作業を行うのが困難なことも多々あります。
三協では、前述のアパレル物流に特化したシステムの導入により、①事前の返品連絡の抜け漏れ②ユーザーの入力内容の間違い③返品処理の際に必要な確認用の用紙が同梱されてないといったイレギュラーなケースであっても、物流センター内でダブルチェックが機械的に行え、過去の販売データに基づいて円滑な返品処理を物流センター内で完結させることが可能となります。
また、三協の返品システムは商品の知識を知らなくとも作業が出来るように構築されており、返品の専任者でなくとも作業が出来ることが最大の特徴です。その結果として、返品が予想よりも増えた場合や、店舗から物流センターに急に商品を大量に返送するといった事態であっても他の持ち場からスタッフが対応することにより迅速な棚入れをおこなえます。
さらに三協の返品システムであれば、不良品が届いた顧客がその次に購入する際に「購入のお礼と前回の不良に関する謝罪メッセージ」を顧客毎にカスタマイズして商品と同梱するといったCRM施策を実現することも可能であり、顧客のファン化やLTVの最大化にも貢献可能です。
このように、エンドユーザーからの返品対応に加えて、実店舗からの返品対応にも入出荷制限ゼロで対応しております。返品処理にお困りであれば、ぜひ一度ご相談ください。
〜アパレル物流ページリンク〜
https://www.kk-sankyo.com/apparel/
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