物流業務を最適化する3PLとは?導入のメリットと注意点

3PLという言葉がビジネス業界で浸透し、物流事業にとって、いまや3PLは欠かせない存在になってきたと言えます。今回は3PLの定義やメリット、注意点、そして4PLとの違いについて解説します。

3PLとは?|意味

3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。
引用元:国土交通省https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu03340.html

3PL(サードパーティー・ロジスティクス)の定義は1997年4月の「総合物流施策大綱」に初めて登場し、2005年11月に加筆されています。また、日本ロジスティクスシステム協会という物流団体でも定義されており、一言で言うと「荷主の物流業務を代行するのが3PL」ということになります。

 

3PLは従来の物流代行とは異なります。2つの違いを理解するキーワードとしては、①荷主との関係性②担当領域となります。理解を明確にしたうえで活用を検討しましょう。

 

3PLでは、荷主企業が自社で物流を運営するのではなく、物流業務の全て、または一部を3PL業者に委託します。前者を「全体アウトソーシング」、後者を「機能アウトソーシング」と呼びます。荷物の保管業務(倉庫業)や輸送業務(運送業)のような個々の業務を手掛けるだけでは3PLではありません。物流の課題解決に向けてコンサルティングするのが3PLといえます。

 

3PL業者が、荷主企業に対して効率的な物流戦略やシステム構築の提案を行うことで、物流戦略にかける荷主企業のリソースの負担を減らし、「高品質・低コスト・短納期」という物流サービスレベルの向上が期待できます。

3PL物流部門の物流委託

物流は以下のように4つの領域に区分でき、業種(製造業・卸売業・小売業)にかかわらず、企業の血液ともいえる重要な業務です。

 

●原材料や部品を調達する際に発生する
「調達物流」

●工場・倉庫間の移動で発生する
「生産(社内)物流」

●商品を顧客へ納品する時に発生する
「販売物流」

●顧客からの返品、リコールやリユース、廃棄物の輸送などで発生する
「返品(回収・廃棄)物流」

 

このように製造から販売にかけてモノの流れは多岐に渡りますので、自社で物流部門を完結させるには、膨大な人的リソースや物的なリソースが必要となります。

3PL言葉の意味

サードパーティーの定義

3PLの言葉の意味を解説します。

 

【1PL(ファーストパーティーロジスティクス)】
→荷主が自ら物流業務を実施

【2PL(セカンドパーティーロジスティクス)】
→荷主が自ら物流システムを構築しながらも、部分的に業務委託を実施

【3PL(サードバーティロジスティクス)】
→3PL事業者が荷主の物流を包括的に代行

 

「ロジスティクス」とは、資材の調達と仕掛品の製造、完成品が消費者に届くまでの物流全体を一元管理することを指します。物流現場の実務に加え、戦略全体の計画策定や改善といった企画業務も含んでいます。

 

サードパーティーである物流事業者が物流を一元管理し、全体最適の実現を目指すことから、サードパーティー・ロジスティクス(3PL)と呼ばれています。

3PLのアセット型・ノンアセット型の違い

3PL業者には、大きく分けて以下の2つの形があります。

《アセット型》自社で倉庫や輸送手段を持つ3PL業者

《ノンアセット型》輸送業者や外部の倉庫業者と提携し、荷主と仲介する3PL業者

 

物流倉庫や輸送手段などを自社で持つアセット型の3PL業者では、自社で物流を完結できますので、荷主とのコミュニケーションが取りやすい点がメリットです。

 

対して、提携先の業者と荷主を仲介するノンアセット型の3PL業者では、複数の事業者から荷主の希望(エリア、特定の温度帯管理、イレギュラー対応など)に合った業者を仲介することができます。

アセット型・ノンアセット型で、メリットやデメリットは異なりますので、自社の目的に合った3PL業者を選ぶようにしましょう。

3PLを導入するメリット

ここでは、荷主企業が3PLを導入するメリットを解説します。

 

コア業務にリソースを集中できる

 

3PLを導入することによる最大のメリットが、物流部門をアウトソーシング化することで、コア業務に専念できることにあります。

 

物流関連業務に充てられていた人員など経営資源を、利益に直結するコア事業に集中させることで、経営改善に大きな効果を期待できます。
物流業務は深夜帯に行われることも多く、社員の負担も大きくなるため、ノンコア業務である物流部門を3PL業者に委託することで、社員の労働環境の改善にも繋がります。

 

固定費の変動

物流業務における固定費を変動費化できる

自社に物流部門を持つ場合、人件費・物流センター・車両(トラック、フォークリフト等)・倉庫管理システムなどは固定費となり、物流コストとして会社経営に大きな負担を与えることになります。

 

物流部門を3PL業者に委託することで、物流コストを固定費から変動費化することができますので、キャッシュフローを大幅に改善できます。

物流コストが固定費になっている場合、出荷量に関わらずほぼ一定の経費が必要になりますが、3PL業者に委託している場合は取扱いの商品が少ない月は費用を削減することも可能です。

物流コストの最適化

3PLを導入することで、物流コストを最適化することができる点も大きなメリットです。

 

荷主企業が物流部門に必要なスキルを保有した人材や倉庫・車両を揃えるためには、膨大なイニシャルコストが必要となるだけではなく、修繕費用などの購入後の維持管理も必要になってきます。

 

また、自社で物流部門を保有している場合、閑散期に車両や人員を減らすといった対応も取りづらく、物流コストが大きな負担となります。3PL業者に物流センターのシステム構築や運営管理を委託することで、必要最低限の導入コストとランニング費用で物流を行うことが可能です。

丁寧な梱包イメージ

物流品質の向上

3PLを導入することで、物流品質を向上させ、顧客満足度を高めることができます。

 

物流の専門ではない企業が、独自に物流部門を持つ場合、物流システムの構築だけではなく人材の育成が大きなハードルとなります。

 

物流のプロである評価の高い物流会社にアウトソーシングすれば、物流業務は標準化され、スピードと物流品質の向上に繋がります。季節波動やセール時などに起こる物流スパイクにもオンタイムで対応できるでしょう。

 

商品をミスなくスピーディに顧客の元に届けることで企業の信頼に繋がりますので、ノウハウが蓄積された専門の3PL業者に任せることは有効な選択肢です

さらに、今までは手が回らなかった「丁寧な包装・梱包」や「同梱物の封入」といったマーケティング機能を物流に持たせることも可能となります。

3PL導入における注意点

3PLを導入する場合には、3PL業者との連携不足による問題に注意が必要です。

 

3PLの失敗例として、思ったよりもコスト削減に繋がらなかった、またはコスト削減を意識し過ぎたために、物流の品質が下がってしまったという問題があります。
物流は利益に直結しないノンコア事業ではあるものの、消費者と直接関わる部門ですので、コストとサービスのバランスを考えて運用していくことが重要です。

 

3PLを導入した際には業務を丸投げにするのではなく、3PL業者とコミュニケーションを密に取り、協力体制を構築していく必要があります。パートナー企業を選定する際には、物流に関する幅広い知識を持っていることは前提として、自社商材の特性や販売計画などを踏まえた柔軟な提案が可能な企業を選択することが重要です。

 

また、3PL業者との連携不足を防ぐために、3PL業者と円滑にやり取りができる、物流の知識を持った担当者の育成を同時に進めておくようにしましょう。

 

3PLの進化系4PLとは

3PLと4PLの違い

3PLをさらに進化させた形が、4PL(フォースパーティ・ロジスティクス)です。

 

4PLは、3PLのシステムにコンサルティング企業がフォースパーティとして加わった形となっており、4PL業者は3PL業者と荷主との関係をコンサルティングして、よりお互いに利益が出るように調整する役割があります。

4PLを導入することで、3PLの問題点でもある、3PL業者との連携不足を解消することが可能です。

 

3PL業者にとっては、物流コストの削減を提案することは自社の利益の減少に直結してしまいますので、削減できる部分があっても提案しにくい点があるのも現実です。

第三者として4PL業者が加わることで、荷主企業・3PL業者の双方に最大限の利益が出る形に調整することができます。

 

ただし、関わる企業が多くなる4PLの導入には3PL導入よりもコストが高くなってしまうケースが多々ありますので、コストとサービスのバランスを考えて自社に合った形を導入するようにしましょう。

三協のWMSであらゆる在庫を一元管理する

三協のWMS

3PLにとって欠かせない仕組みが、在庫や出荷、納品書の作成などを行う倉庫管理システム「WMS(Warehouse Management System)」です。

 

三協では、自社開発のWMS「SANTA」での在庫一元管理により、誤出荷ゼロの精度の高い物流品質を実現しています。
SANTAでは、大手ECサイトの多店舗展開に加え、近年注目が集まってきたライブコマースでの販売機能にも連携して、在庫情報をリアルタイムに管理することができます。

 

また、現場に精通した物流専門のエンジニアがシステムを構築しており、基幹システムで管理する「理論在庫」と倉庫内の「実在庫」の差異を完全に一致させることで、余剰在庫や機会損失を防ぎ、荷主企業の利益を最大化することが可能です。

 

ECでの売上増をお考えの企業様は、ぜひ在庫や出荷、納品書の作成など倉庫内の業務を一元管理できる三協のSANTAの導入を検討してください。

3PLの導入で物流コストを最適化!

製造業・卸売業・小売業など在庫を保有する全ての業種において、資材の調達から商品の納品に至る物流管理は、社内外の関係者とのやりとりが発生するなど非常に重要な業務です。

 

自社で物流部門を保有した場合、経営資源のリソースを大幅に取られてしまうため、専門的なノウハウを持った3PL業者に物流業務を委託することは非常に効果的です。

3PLを導入することで、経営資源を本来のコア事業に集中させることが可能となり、また、物流コストも最適化することができますので、経費削減の効果も期待できます。

 

ただし、3PLを導入する際には、3PL業者との連携不足には注意が必要となっており、3PL業者と連携を取れる人材の育成も重要です。

 

最適な形で3PLを活用できるように、3PL業者と連携を取り、お互いの利益が最大化できる形を構築していきましょう。

 

三協では徹底的なヒアリングを重ね、さまざまな仮説と検証を繰り返し、三協へ物流をお任せいただくお客様がさらに強くなっていただけるようお力添えをしております。

 

作業マニュアルによって熟練度に頼らない標準化された作業品質を実現、作業スタッフをアルバイト雇用することで人件費を徹底的に削減しております。コストを下げて物流品質を上げたい方は、ぜひ一度ご相談ください!

 

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