誤出荷を無くす
これまで、品質面において我々のお客様の関心が最も高く、残念ながら影響度が大きい為にお叱りの声が厳しいのも誤出荷事故に関するものです。
実は事故防止に関しては「バーコード管理」が可能か否かという点が非常に大きいポイントであり、それによって我々の現場における業務フローは勿論、誤出荷防止策も全く異なるものとなります。
また、現状ではバーコード管理が難しいとお考えの企業様におかれましても、導入から運営までのシステム構築を含めた一環業務を請負って効果を上げてきた実績もございますが、ここではバーコード化ができない、つまり、事故が発生しやすい場合の倉庫管理という前提での誤出荷対策について考察してみたいと思います。
誤出荷事故の80%は2つの要因で発生していた
しかし、当社の過去のデータを分析すると誤出荷が発生してしまう2大原因は誤ピッキングと出荷時の伝票誤添付によるものであり、その2つのミスが事故原因の80%を占めていました。
ピッキングのミスとは、違う商品をピッキングしてしまう、違う数量をピッキングしてしまうという事故ですが、ほとんどのミスは数量ではなく、商品間違いによるミスでした。
また、出荷時の伝票誤添付というのは、作成した伝票、送り状と出荷準備をした商品の突合せ時にあべこべに貼り間違いをするというミスでした。
Wチェックは機能しない
それというのも誤出荷事故の発生件数自体が作業量に比べると非常に少ない、つまり日々のチェック作業自体が結果として必要のない状態が続くと、どうしてもチェック自体が疎かになってしまうようです。
しかし一方では、ピッキング作業者、伝票貼り付け作業者が人間である以上、いつか必ずミスを起こします。
つまりヒューマンエラーはいつか100%起こるのです。
作業者の注意力が問題なのではない
例えば、ピッキング作業において、商品現物表示の商品番号とピッキングリストにある商品番号を確認する際に、不注意で合っていると思ってしまってミスが起こる。これは注意力不足によるものですが、実際には確認作業をしていない、頭から合っていると思い込んで確認作業が抜けてしまうということでミスが起こってしまうようです。
何故、確認作業が抜けてしまうのか?
本来、人間は自分が確信を持っていることについては逐一確認作業をしながら業務を進めるということは心理的に無駄だと思ってしまうので抜けてしまうのです。
つまり処理業務は得意で忘れることは皆無だが、確認作業は不得意で、つい思い込んだり、忘れてしまったりということが多いのです。
確認作業を処理作業化にすると効果が高い
つまり確認作業を処理作業に変えてやるのです。
このことだけで、結果として確認作業が完璧に行えるようになり誤出荷事故が大幅に低減できます。
注意力を喚起する工夫を随所に
しかし当たり前のことができていないことも多いようです。
ピッキングリストには必要のない情報を入れない、重要な情報は文字を大きくする、文字レイアウトを作業性を考慮して配置するなどなど、システム会社におまかせでは、そういう愛情細やかなピッキングリストはできあがりません。
現物表示のシールやカンバンにも工夫して、類似表示品と区別しやすいように、そこだけ大きくするとか、色を変えるというのも効果があります。 その他には、数字やアルファベットではなく「ひらがな」を使うというのも効果的です。
送り状のミスを物理的に防げるか
そういう場合には、双方にわかりやすい記号を入れたり、通しNO.を振るなどの手間をかけてやる必要があるようです。
出荷指示をCSVで貰う
せめてEXCEL様式のデータをメールでやり取りできるようにするだけで、倉庫側の相違工夫でデータ加工を施し色々な防止策が可能となって、可能性が広がっていきます。
誤出荷問題だけでなく作業効率も上がりますし事務管理コストや請求業務にも役に立ちますので、現在使っておられる仕入管理ソフトや売り掛け管理ソフトからCSVデータに落とすことも可能なはずです。
その他にも色々な現場でのノウハウがありますが、商品形態や出荷形態などニーズが余りにもケースバイケースで異なってしまいます。
要はバーコード化ということが一番シンプルかつ効果的なのですが、今でも多くの我々のお客様は仕入先の問題や商品形態の問題などで物流的には厳しい環境で業務をする必要に迫られています。
最後に、物流情報のジャストインタイムの実現こそ全ての問題を解決するキーとなると私は思っております。
逆に言えば、商品のJIT供給は情報のJIT供給が実現できた結果として、自然に達成可能となるのです。
裏を返せば、物流情報が現場にJIT供給されていないケースが多いということです。